6/11 四股トレ1000 四十五日目 カエル

 11名参加。東京、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。腰割り前のトレーニングからスタート。本日のカウントは、さいたまトリエンナーレ2016千秋楽での一ノ矢さんとJACSHAの相撲聞芸術フォーラム、ポーランド語の数字、元素、鉄道の旅、カエル語、かえるの歌(リコーダー)、ウイスキー瓶、ほ、「看護師のためのwebマガジン」より、盲目の写真家ユジェン・バフチャルなど、視覚障害者と写真の関係について、竹野相撲甚句(フミフミ甚句)、全員のカウントで1000回。四股トレ1000で実践している四股は、一ノ矢師匠が推奨する佐川流の四股で、お相撲さんが土俵上や稽古でやる四股に比べると、だいぶ小さい動きのため、1000回と聞くとはじめは驚くが、やってみると意外に無理なくできる。お手本にしている師匠のデモンストレーションのビデオでは、テンポは40〜42(1分間に40〜42歩)。お相撲さんはテンポ8くらい。なので、お相撲さんが豪快に大きく足を上げて一歩踏む間に5歩踏めるという、テンポの速いのが佐川流の特徴でもある。四股トレ1000は毎日10人前後が参加し、一人100ずつカウントして回していくが、テンポ40くらいを基準としつつも、その人、その日によって違いがあるのが面白い。テンポが変われば四股も変わる。今日は全体的にアレグレットでサクサクだったな〜という日もあれば、人によってガクッと変わったりして、楽章形式の音楽のように、いろんな緩急を味わう日もある。今日はしばらく緩徐楽章のアンダンテが続き、誰の頃からか徐々にアッチェレランド、佐川流モデラートになった。最近は比較的アンダンテの傾向にあるのだが、じっくりと体の細部や呼吸への意識を高めることができる。

 キーボディストの鈴木さん、あゆみさんが初参加。参加前は50%ごめんなさいになるのではと思っていたそうだが、意外にできた達成感で四股メディテーション。気の抜けたリコーダーのかえるの歌、ウイスキー瓶の宇宙のような音色、脱力を意識した息の「ほ」発声で、初参加にも関わらず、気持ちの良いカウントを下さった。久しぶりで2回目の参加となったダンサーの佐久間さんは、カエルだった。カエルと相撲は相性がいい、というのは発見だ。カエルの姿勢はそもそも腰割りと立ち合いの型である。そして回転する四股だった。土俵に東西南北があるように、四隅の一箇所で8カウント、一周で32歩。ケロケロだったりグワーだったりのカエル語や回転の動きを真似し、その姿をみた佐久間さんがさらに真似る。テンポもカウントも動きも、まわりに人に影響される四股、これは四股トレ1000の醍醐味だ。石神さんの元素カウントでは、これまでは軽い方からだったのが、今日は重い方からだったので、カウントごとに身軽になるイメージで踏んだ。声ヨガから発想したという。

 JACSHA世話人里村から、鼻呼吸がしやすくなるという顔トレ、あいうべ体操を教わる。「ベ」のときに、舌をだして大きく落とす。元横綱稀勢の里は、力士は顔が大事といっていた。なかなか効きそうなので、さっそく明日はあいうべ四股をしてみよう。

四股ノオト
6/11 四股ノオト

6/10 四股トレ1000 四十四日目 光る足裏

10名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。昨日学んだ腰割り前のトレーニング3種類からスタート。本日のカウントは、日本語の数字、さいたまトリエンナーレ2016千秋楽での一ノ矢さんとJACSHAの相撲聞芸術フォーラム、ポーランド語の数字、「看護師のためのwebマガジン」より、盲目の写真家ユジェン・バフチャルなど、視覚障害者と写真の関係について、大相撲人気番付、元素、消化と吸収の仕組み、聖書より創世記第五章、竹野相撲甚句、全員のカウントで1000回。昨日からポーランド語のカウントをゆっくりにしたJACSHA世話人里村は、体の力が一段階抜けてゆっくりになり、四股とともにポーランド語が体に馴染んできた。ユジェン・バフチャルさんについては、6/7日曜日の稽古でダンサーの砂連尾さんが、足裏の輪郭がピカッピカッと光る感覚になったことから連想して、映像作家の山城さんが紹介してくれた。バフチャルさんの作品は、見る執着を視覚化し、光を探るように手の輪郭がたくさん写っているらしい。人間は発光体で、体内は写真の原理に似て写真箱のようになっている。その光を砂連尾さんは見たのではないか。大相撲人気番付(日刊スポーツ第9回大相撲総選挙の結果)は、意外なことに横綱白鵬が前頭三枚目。白鵬は今年の7月場所で横綱在位14年目となる。横綱朝青龍が現役時代には、辞めたいとよくこぼしていたらしいが、常に強くなきゃいけない辛さは想像を絶するのだろう。JACSHAは、ジャクシャと読み、漢字を当てると「弱者」にもなったりして、強くなりたい、という思いも込められている。少し弱いくらいの方がいいのかもしれない。

四股ノオト
6/10 四股ノオト

6/9 四股トレ1000 四十三日目 フミフミ

72名参加。東京、神奈川、茨城、京都、大阪より参加。本日のカウントは、「ワニのオーケストラ入門」(ドナルド・エリオット著)よりバスーン、トランペット朗読、呼出しの呼出し、一ノ矢さんの「お相撲さんの腰割りトレーニングに隠されたすごい秘密」より、腰割り前のお薦めトレーニング、ポーランド語の数、わらべ唄(作詞・作曲:高畑勲)、四股踏みドリーマー甚句(作詞:鶴見幸代)、宮城道雄三味線練習曲20(花よりあくる〜古今集より)、日本語の数字、全員のカウントで1000回。これまでの四股トレ1000での蓄積や、事前に力士の腰割りや四股の動画を見ていたせいか、今日はいつも以上に様々なトレーニング(参加者それぞれ使用するバランスディスクや下駄など)や、体の使い方が気になって、しっかり腰を割ってガッツリ1000回踏んだ感。感想タイムでは、腰割り前のお薦めトレーニング法を、実演しながらしっかりおさらい。1)壁と股割り、2)太腿外旋運動(内側の腿を感じる)3)踵上げ下げ。この3種は明日から取り入れてみよう。時々ママと一緒に四股を踏む子ども達は、今日もたくさフミフミ。最初は嫌がっていたけど、100回過ぎた頃「あ、楽になってきた!」と言って踏み続ける。四股ノオトを毎日綴るJACSHA世話人里村は、ポーランド語のカウントがいつもよりゆっくりだった。これもまたいいと思った。JACSHA鶴見は、元横綱稀勢の里に倣って、四股踏み中は顔トレを心がけ、四股を踏みながら夢を叶えたいと、四股踏みの夢、そしてこれまでの四股トレ1000の様子を詠み込んだオリジナル甚句でカウントした。フミフミと歌われるところが気持ち良かった。

 四股ノオト
6/9 四股ノオト

6/8 四股トレ1000 四十二日目 腰とは?

 9名参加。東京、神奈川、茨城、京都、沖縄より参加。本日のカウントは、一ノ矢さんの「お相撲さんの“腰割り”トレーニングに隠されたすごい秘密」より、森光子さんは毎日150回スクワットをしていたので2000回公演が出来た話(スクワットというより腰割りだった)、ポーランド語の数字、日本語の数字、呼出しの呼出し、宮城道雄三味線練習曲より春霞、大井川、シュタイナーの「色と形と音の瞑想」朗読、相撲甚句、沖縄の黄金言葉(くがにくとぅば)、全員のカウントで1000回。感想タイムでは、腰割り時の、腰を落とす距離、その時の腰とはどこなのか、という誰しもが抱く疑問からディスカッション。ピンポイントにここというのでなく、腰回り全体だったり、奥深いところであったりと、腰についての解釈はさまざまだ。そこで、一ノ矢さんの連載「四股探究の旅」の第一回「“腰を割る”とは?」を共有する(月刊「武道」2018年9月号より)。腰割りが慣れていない人は、椅子に座っての腰割りがおすすめ、四股トレ1000では深く腰は割らないが、まずは大きく深い腰割りのことを知っておくのが効果的なのではないかと、打楽器奏者の神田さんからのご意見。JACSHA樅山は、数日ぶりの参加で、慣れるのに時間がかかった。自分の中心探しから始まったという。箏奏者の澤村さんは、感想タイム中に散歩をしていたが、四股後の散歩は揺れている感じがするという。JACSHA鶴見は、きのうダンサーの砂連尾さんが言っていた、踏むごとに足裏の輪郭がピカッピカッと光って見える感じ、というのを意識した。光にはまだ程遠いが、土踏まずやカカトへの意識を強くすると、なんとなく輪郭が見えてきた気もする。もう一つ、きのう出た話題の暗闇での四股。今月21日の夏至で新月の夜に、夏四股夜四股(げしこヨシコ)として、夜に四股トレ1000をやってみる提案。参加者は日本全国に住んでいるので、それぞれの日の入りのズレを楽しみ共有しつつ暗闇四股を経験する。 

  奈良時代や平安時代に行われていた「踏歌(とうか)」。土を踏み、歌を歌う。奈良時代には、唐にならって正月はじめの満月、1月14日元宵節(げんしょうせつ)の夜に行われていたが、時代を経るに従い、風紀が乱れるとして、踏歌を夜にやるのは禁じられたという。いつの時代も、芸能と夜の風紀取締りは切ってもきれない切ない関係だ。

四股ノオト
6/8 四股ノオト

6/7 四股トレ1000 四十一日目 暗闇

12名参加。東京、神奈川、京都、大阪、沖縄より参加。本日のカウントは、日本語の数字、日本語の数字、「人体解剖図」より「呼吸の仕組み」朗読、短歌(ひーふーみー、踏み踏みソング)、歴代天皇、「ワニのオーケストラ入門」よりオーボエとクラリネット朗読、一ノ矢さんの「お相撲さんの腰割りトレーニングに隠されたすごい秘密」より四股と呼吸の話、ポーランド語の数字、宮城道雄練習曲18番、全員のカウントで1000回。感想タイムでは、オーケストラの話題がしばらく続く。オーボエとトランペットでは性格は全く違う。指揮者が睨むと緊張するから、視線を外すなどなど。空港から参加でサイレント四股を試みたJACSHA鶴見は、ジャワ舞踊のよう。ゆっくり動き、細部を意識。砂連尾さん足裏の輪郭が見え、足の縁がピカッと光る感覚。暗闇ワークショップ、胎動巡り、生と死、話が展開していき、暗闇での四股をしたら、どんな感覚になるのだろうと思う。竹澤さん、バランスディスクを試すが、柔らかく、筋トレにはいいが四股には不向き。床の硬さについて語っているうちに、鶴見は搭乗ゲートに入り、飛行機に乗り込むと同時にサイレント退出。みなが心の声でカウントし極力音を出さないサイレント四股をスピーカービューにしてやったら、ZOOMは何の音に反応して、カメラ割りを決めていくのだろう?それも聞こえない音を聴く体験になるのかもしれない。

四股ノオト
6/7 四股ノオト

6/6 四股トレ1000 四十日目 撮影日

12名参加。PR動画撮影日。画角を調整したり、名前の表示を四股名にしてしっかり準備し、四股トレ開始。日本語の数字、短歌(ひーふーみー、踏み踏みソング)、千鳥の曲、石川県出身力士、かかとを浮かさない話、ポーランド語の数字、鉄道の旅、全員のカウントで1000回。撮影の都合で500×2セット。四股トレ1000を始めた頃は、100回ずつ止めて喜びを味わいながら続けていたが、いつの頃からか1000回をぶっ続けでやるようになり、今日は久々に途中で止まってみると、充実感や疲労感が結構違うことに気づく。1000回の後は、2名のカウント(沖縄民謡、インドネシア語の数字)、これまでに思い出深かったカウントを、ソロ踏みで追加撮影(キノコの種類、童謡、猫の数字)。今日は数字のカウント割合が多く、いつもに増してしっかり集中して稽古した感じがする。呼吸を意識して、2歩、3歩、4歩と、長めの呼吸に取り組んでみたが、長ければ長いほど、体の重みを実感した。追加撮影時、一人のみがカウントと四股を踏んでる様子を見るのは、相撲部屋で一つの土俵を囲んで、兄弟子や弟弟子の相撲を見て学ぶ意義を想起した。他の人の四股をじっくり見ることはいいことだ。

6/5 四股トレ1000 三十九日目 西洋と東洋を繋ぐ

 12名参加。腰割りトレーニングから開始。それから、日本語の数字、筋肉とインナーマッスルの話、ポーランド語の数字、短歌、オーケストラの絵本の朗読、フライパン銅鑼をハーリー鐘風に沖縄民謡、全員のカウントで1000回。参加してもうすぐ1ヶ月となるダンサーの砂連尾さんは、この四股トレ1000に魅了されて大学の授業に取り入れ(バレエのプリエの前に四股をするととてもいいらしい)、オンラインに参加できない日は、一人で最低1000歩は踏んでいるとのこと。『西洋と東洋のメソッドは違うものと思っていたが、繋ぐポイントは四股だった、四股で全部繋がり始めたと』いう。そんな彼の日々のメニューは、四股1000回ー股割りー気功ー股割りー三点倒立ー股割りー太極拳ー股割りープリエ。四股で始まり、股割りを間奏曲、またはロンドのようにして、さまざまな動きの間にするのがいいらしい。JACSHAとしては、この股割り形式から、インテルメッツォ・マタワリ、もしくはロンド・マタワリを作ることになるだろう。JACSHA野村は、砂連尾さんの足裏に関するいろいろな気づきに影響されて、つま先立ちで100歩踏んでみたところ、ふらつかないように、無駄に重心を動かさず、体の真ん中、重心線を保つ意識が高まったということだ。

 映像作家の山城知佳子さん、シンガーソングライターのアラカキヒロコさんが初参加。思ったよりきつくなく、1000回後は体がポカポカと心地よく、代謝が上がっている状態を感じたそうだ。山城さんは、仕事柄、撮影時に重たいカメラを担いで動き回るのだが、その姿勢を実演してもらうと、脇を閉めて動く様はまるで力士が相撲を取っているかのように見える。砂連尾さんと山城さんが出会うきっかけになったエピソード「その地域の踊りがなくなると言葉もなくなる」という話題になった。「がまく」という沖縄の言葉がある。腰のあたりのどこかのことだったり、心身に影響する部分としても使われる。琉球舞踊で「がまくを入れる」と言ったりする。本来の「がまく」とは、腰のどこを指すのかが明確にあったが、現在は舞踊家によって違いがあり、「がまく」の伝承が途絶えるかもしれないとのことだ。「がまくを入れる」と、四股や相撲でいうところの「腰が決まる」は共通しているかもしれない。四股トレ1000をいろいろな地域で、そこに住む人々と一緒にやろうとの声が上がっている。四股を通して、その地特有の暮らしや身体性、様々な「がまく」のようなことに出会えるかもしれない。

 四股1000100人くらいでやったら、ベジャールのボレロよりいけるのではないか!という話題にもなった。四股ボレロ。たしかに、四股1000は既にボレロの感がある。フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルのオーケストラ作品「ボレロ」は、AB二種類のメロディが、いろいろな楽器が主旋律になって、AAB/AAB/AAB/AAB/…というように、シンプルに同じ構成が30クールくらい繰り返され、じわじわと盛り上がり、最後は恍惚として畳み掛けるようにいきなり終わる。四股1000もそんな感じ。ボレロは1クールごとにオーケストレーションが様々に変化するが、四股1000は一人ずつ100カウントを先導し、1000歩も踏み続けるので、参加者それぞれが色々な動きを試しているアンサンブルは、ぱっと聞いた感じ、ぱっと見た感じは気づきにくいけど、ボレロの一筋縄ではいかない複雑で細かく重ねられたスコアに似てる気がする。体内奥深いところがじわじわ変化していく感覚も音楽にしようと思ったら、ボレロのスコアがヒントかもしれない。

四股ノオト
6/5 四股ノオト

赤ちゃんの腰割りと四股

友達とビーチで四股トレ、四股ゆんたを一緒にしました。[1] 腰割りの基本がデフォルトで出来ている、まだ足が立たない8ヶ月の赤ちゃん(セオ君)も、一緒に四股を踏みました。足を踏みたくてしょうがない、という根源的な欲求を一緒に体験できたことは感動でした。ベリーダンサーの方も一緒にやりましたが、つま先と膝の角度を同じにして、丹田を意識して真っ直ぐに腰を降ろす、相撲でいうところの「腰割り」の姿勢は、ベリーダンスをやっている人がよくやるスクワットのかたちと共通しているらしく、自分が説明できないところを補足してくれて、楽しい四股を踏むことができました。小学生の龍ちゃんは、四股は一緒にしなかったけど、塵手水(ちりちょうず)と蹲踞(そんきょ)が安定感あってとても上手でした。


[1] 元一ノ矢著《連載「四股探求の旅」第1回 腰を割るとは?》月間「武道」20189月号より

「おんぶや抱っこされた赤ん坊の姿を思い浮かべてください。このときの赤ん坊は、股関節をゆるめて開き、実に気持ちよさそうにしています。ゆるんで開いた太腿から膝下が重力に沿って自然に下に伸びていて、それは腰割りの構えそのものです。こうした姿を見ると、腰割りの構えがどこにも力みのない自然な構えだと納得できます。」

赤ちゃんの四股
赤ちゃんの四股
蹲踞
龍ちゃん安定の蹲踞
四股三線、四股ゆんた
四股三線、四股ゆんた
四股トレ
四股トレ


6/4 四股トレ1000 三十八日目 呼吸

 11名参加。これまではいきなり四股を踏み出していたが、今日は四股の効果を上げるため、腰割りトレーニングから開始。足を肩幅の1.5倍広げて、つま先と膝の方向を同じにし、腰を落としてその姿勢をキープするのが重要。それから、全身の筋肉の話、イタリア語の短歌、日本語の数字、体の軸「コア」についての朗読、ポーランド語の数字、歴代天皇、琉球古典音楽、オーケストラの絵本の朗読、三味線練習曲のカウントで1000回。昨日の朗読で学んだ、四股とお能の呼吸パターンの違いを参考に実践した箏奏者の竹澤さんは、呼吸を意識すると、脱力がいつもよりズシンときて、腰の安定感が増してきたそうだ。一歩ずつ吐く、吸うを繰り返す、二歩ずつにしてみる、もっと長く、自然に任せる、カウントが自分の番になって、ひたすら声を出し続けているとき、それぞれに体の充実感が変わる(声を出し続けるとかなりの汗をかく)。先月の稽古の時、ダンサーの砂連尾さんは、お尻を丸くすくうようなイメージで呼吸をしていると言っていたが、四股と呼吸の関係も無限に奥が深い。

 四股トレを開始して1ヶ月以上、または1ヶ月近く近くたつ参加者が増えてきたため、体の変化をたずねてみると、階段を一歩ずつ降りられるようになった、頭から体への指令が自然にいくようになったかもしれない、何をしても変わらなかった体重が少し減り、顔も引き締まった、傾きの大きかった左右の肩の高さが同じになってきた、しばらくぶりに電車に乗ってみると、上半身が高層ビル上階の遊び部分が揺れる時のように感じ、同時に地面を足全体で捉えられている実感があった、首凝りが治った、というように、参加者の多くになんらかの変化があることが分かった。

四股ノオト
6/4 四股ノオト

6/3 四股トレ1000 三十七日目 四股の股

9名参加。三味線練習曲、四股についての朗読、沖縄民謡、キノコの種類、呼出しの呼出し、八百屋場所キノコ力士の取組実況、川の流れのように(四股トレ1000バージョン)のカウントで1000回。四股についての朗読では、呼吸について、四股は吸いながら足を上げ、吐きながら降ろすが、お能では逆に、吸いながら降ろし吐きながら上げる、ということを知る。それを聞きながらどちらの呼吸スタイルでも踏んでみたJACSHA樅山は、足を降ろすときに息を吸うと背筋が伸びてとても気持ち良かったと言う。四股の「股」はどの辺をイメージするか、という問いに、箏奏者の竹澤さんは足の付け根を感じる方法を共有して下さり、皆で足をブラブラして実践した。足の付け根は腰の奥の方にあるらしい。また、腕の付け根は鎖骨の始まりのグリグリ部分(首の付け根の下)にあり、竹澤さんはそこから腕や手を意識して箏を演奏しているらしい。今日初参加の音楽学者の小川さんは、四股1000回後、うまく話せないほどボーっと放心していた。四股トレ1000を始めた当初、多くの人がボーっとする感じを持ったため、これを四股メディテーションと呼んでいる。なので、初めの頃は、とにかく1000回踏んで、ボーっとなるの日々で、最近のように感想戦(アフタートーク)にてあれこれと多義にディスカッションすることはあまりなかった。そんな小川さんは、四股をしながら踊りのことを考えたという。

 今の1000回の数え方は、1人100歩分数えて10人回していく。数字を数える(いろんな言語で)、相撲甚句、歴代横綱、四股名、決まり手、朗読、歌、念仏、駅名など、カウントの仕方は人それぞれでバラエティに富む。平安時代の相撲節会(すまいのせちえ)の踏歌、相撲甚句は相撲の型をしながら歌うものだったこと、沖縄のゆんた(八重山地方の作業歌)、歌と舞の一体感、または歌舞の発生を想起するような1000回でもある。

 複数人の人が集まって同じ作業をしたとき、どんな文化が生まれるんだろうという興味がある。四股トレならではのものが生まれたり発見したりするのも楽しみの一つだ。今の四股トレ1000文化の流行りは、四股についての朗読を聞いて、頭からも体からもフィードバックに夢中な感じだろうか。1ヶ月以上ほぼ毎日聞いているポーランド語のカウントはもはや四股の身体に馴染んでいるし、しつこく繰り返すうちに徐々に当たり前になっていく。

四股ノオト
6/3 四股ノオト