8/30 四股1000 百二十五日目 動物の四股祭

 8名参加。東京、神奈川、埼玉、茨城、京都、大阪より参加。1st2ndポジションで、ドゥミプリエ、グランプリエ、ルルベの繰り返し、腰割りとイチロースタイルの肩入れから開始。本日のカウントは、四股1000メンバーによる七股相撲甚句、月刊相撲5月号附録全相撲人名鑑より伊勢ノ海部屋漣〜大嶽部屋吾郎、20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」、日本語の数字(普、with風船、重)、川の流れのように(四股1000ver.)、◯四股、全員のカウントで1000回。

 呼出しハンコ職人のサトさんは、全相撲人名鑑から、親方、力士、行司、呼出し、床山などを次々と呼び上げていくが、追手風部屋が大変そうだった。大翔◯◯という四股名が何人も続くからだ。佐渡ケ嶽部屋も大変そうだということで、地歌奏者の竹澤さんは、義太夫や歌舞伎の演目「壇浦兜軍記」(だんのうらかぶとぐんき)にある、「琴責の段」(ことぜめのだん)のことを教えてくれた。阿古屋(あこや)姫が、ウソ発見器として、琴、三味線、胡弓を弾かされ、音に迷いがなければ潔白を証明できるシーン。楽器がウソ発見器になるというは面白い。阿古屋役の演者が楽器を演奏する、見せどころのシーンである。迷いがない四股を踏むことで、潔白を証明する踏み絵の段も、隠れ四股たん取締奉行にある。今日は大翔責の段であったのだ。そのうちやってくる琴責の段が楽しみだ。風責の段、千代責の段、朝責の段もある。

 JACSHA野村が連日音読をしている20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」。昨日の続きで、相撲の魅力は、見せるために「演出」されたものと「はだか」であることの絶妙なバランスがたまらない、と観客の質問に応えていた。こうして、JACSHAフォーラムは、なぜ相撲なのか?相撲は神事であることについて、などの根本的な問いに答え、JACSHAについてさまざまな視点から網羅された内容になっているので、フォーラムが行われた展示室「相撲聞芸術研究室SHARS」の資料とともに、まずはJACSHA本を作るのはどうだろうと、JACSHA樅山から提案があった。

 打楽器奏者の神田さんは、下半身がよく見える、足元から舐めあげるようなグラビアアングルのカメラ位置。迫力のある親方アングルと言ってもいいかもしれない。野村、鶴見、竹澤さんも同調してカメラ位置を調整。オンラインの画面に四股姿全身を映すのは、部屋の大きさの兼ね合いなどから簡単にはいかない。上半身だけの人、首から下の人、人によって映り方は違う。神田さんの親方アングルは、今日はそこにしかカメラを置くところがなかったのが理由だが、下半身がよく見えると四股の参考になるのは間違えなく、樅山は鶴見の四股、腰割り、五角形が綺麗だった、先日あかねさんが、四股1000PRビデオと最近の四股は違うように見えると言っていたが、上達しているのかもしれない、と話した。鶴見や竹澤さんは、師匠からの指導が転機になって、意識が変わったという。鶴見は軸足の膝を伸ばすこと、竹澤さんは、内くるぶしからスネにかけて体重が乗っかるようにする、という教えを意識しているという。時々師匠から教えをいただくことは大事なのだと実感する。

 やっちゃんとナナちゃんは、昨日、今日と、カラフルな瓢箪型の風船を楽しそうに振りながら四股を踏んでいた。鶴見も影響されて、帽子、人形、紙の軍配を手にしながら踏んでいた。手に何かを持って四股を踏むのは楽しいそうである。軍配には、カンガルーの親子による横綱土俵入のイラストが書かれていた(西濃運輸キャラクター)。風船や人形、動物をヒントにした、子ども向け四股企画は楽しそうである。野村は大きいパンダの人形を持っており、どこかの動物園にいるかもしれない、パンダ流四股をシミュレーションした。 7月に行った「とよおかアート縁日」での「すもう×おんがくワークショップ」のように、15分番組だったら動物の着ぐるみを着たまま四股が踏めるだろうか。サン=サーンスの「動物の謝肉祭」や、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」を参照し、「動物の四股祭」、「青少年のための四股楽入門」などの、四股教育エンターテイメントとしての音楽作品作りも楽しそうである。

8/29 四股1000 百二十四日目 千四股物語

 10名参加。東京、神奈川、埼玉、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。本日のカウントは、四股1000メンバーによる七股相撲甚句本唄、健康診断検査項目、20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、オランダ語の数字、日本語の数字(普、with風船、声色七変化)、般若心経、◯四股、のカウントで1000回。

 JACSHA鶴見がカウントした七股相撲甚句は、四股1000のことを詠んだ句が多いので、踏みながら聞くと一層染み入る。四股1000のテーマソングのような甚句になっている。歌詞は、四股1000メンバーによる旧暦七月七日七股相撲甚句参照。今日の感想戦から、打楽器奏者の神田さんの夢「土俵入りの筋肉を、白鵬よりもつけたい」もうまく取り入れたいし、JACSHA世話人里村は、時事として昨日突然辞意を発表した安倍首相のことも入れたいと、七股甚句のさらなるアイデアが膨らんだ。

 JACSHA野村が連日音読をしている20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」。なぜ相撲が好きなのかという観客からの質問に対して、どうして好きなのか、相撲のどんなところに魅力があるのかを探りたいからJACSHAを結成して活動をしている、恋人に対して愛しすぎてどのくらい愛しているか分からないくらい、と応えていた。鶴見にとって相撲の魅力のキーワードは「はだか」だと言った。力士ははだかであるが、呼出しに対しても「はだかの声」を感じるという。何も隠さず、飾り気のない、透明をイメージする「はだか」。無色透明なのでなく、全ての色の光が混ざり合うと透明になるような、奥行き感のある「はだか」だ。鶴見はよくこのことを口にするが、公の場で語ったのはこの時が初めてだろう。

 JACSHA里村が連日音読していた「説経節かるかや」が遂に終わった。振り返ってみると、626日から始まったのだった。壮大なストーリーとともに2ヶ月間説経されていたことになる。里村がなぜこれを読み始めたかというと、6/25の四股1000で、隠れキリシタンの話題から、隠れ四股たんが誕生し、その夜のJACSHA飲み会で、四股仏、四股神、四股福神などの隠れ四股たんの神仏や、道具、経典について話していたことに繋がる。

 JACSHA樅山は、一四股、二四股、三四股、四四股〜百四股、というように、数字に四股の単位を付けたカウントが気持ちよかったので、昨日に引き続き今日も実践したところ、いつもよりも汗をかいたそうだ。このカウントに影響された野村は、壁に向かって四股を踏んだところ、自分の真っ直ぐを感じたという。樅山は900から1000回の担当だったので、最後に「千四股」のカウントとともに踏み終わるのは格別であった。地歌奏者の竹澤さんは、目をつぶって四股を踏んだところ、足先から頭のてっぺんまで、衝撃が流れるのを感じたそうだ。四股1000を続けて120日を過ぎてもまだまだ四股の発見は尽きない。

四股ノオト
8/29 四股ノオト

8/28 四股1000 百二十三日目 ワンニャンミーンの修行日

 9名参加。東京、神奈川、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。本日のカウントは、初心に戻るために、数字のカウントのみで1000回。言語、声のニュアンス、単位は自由とした。◯枚目(三段目番付)、重く遅い、念仏風(テンポチェンジ付)、七尾弁、◯万円、1でワン(犬吠え)、◯通り、◯四股、◯楽章、と、ニュアンスや単位が違うだけでも、一歩一歩のイメージに落とし込まれて面白く、一歩の存在感がはっきりするような感覚で四股を踏み続けた。

 久しぶりの数字カウント1000回の感想は、負荷感が違う、やった感ある、修行感ある、毎日やっているのにへこたれそうになった、といった声が多かった。評論家の松平あかねさんは、JACSHA鶴見がよく歌う八重山民謡の「ゆんた」は、労働の辛さを紛らわすものであることを思い出した。

 JACSHA野村は、昨日のインタビュー形式では、四股に対して他人がどう感じているのかを追体験することになったが、数字カウントでは自分の四股と向き合うことになる、と大きな違いを指摘。まさしくそうである。自分の四股に向き合うことは大事だから、辛くても時には必要なやり方であることが確認できた。

 四股1000メンバーは、犬の鳴き声が得意な人が多く(かなりのハイレベルで、言われないと本物と聞き分けられないレベル)、コントラバス奏者の四戸さんのカウントでは、1のくらいが1のときにワン!と吠えた。歌手の松平敬さんがよく123のみでカウントするので、ワン()、ニャン()、ミーン()のアイデアが出される。今日はちょうど四股1000が始まって123日目、ワンニャンミーンの日である。

 明日のカウントはこれまでの自由型に戻す。昨日、今日を受けて、自由型の仕方も変わるだろう。

8/27 四股1000 百二十二日目 JACSHAの部屋形式

 9名参加。東京、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。竹野相撲甚句体操より開始。本日のカウントは、「どんなテーマで、どんなことを考えながら、どんなことに気をつけながら四股を踏んでいるか?」を話しながら1000回踏んだ。

 新しいカウントの仕方を実験。昨日、四股と感想戦を一緒にしたようなカウントをするのはどうか?などの提案があり、まずJACSHA鶴見は、そのことについて話し、ではどうやって今日は進めていこうかと話しながらカウント。続いて、JACSHA野村は、呼吸についての問いを投げかけるカウント。思いついたメンバーが自由に答えていく。その後、野村がインタビュアーになり、「どんなテーマで、どんなことを考えながら、どんなことに気をつけながら四股を踏んでいるか?」を問うて、メンバー1人ずつが答えながらのトークが続く「JACSHAの部屋」が始まった。

 どのくらい曲げると気持ちいいのか、無心のときもあれば、ポジティブな気分になる転換点がある、ポジティブエネルギーが走り、迷いがある時もある/コントラバスの駒は蹲踞をしている、四股ントラバス、隠れ四股たんとして、駒が踏み絵になったとしたら踏める、犬は腰割りができている/重心の移動を考える、心身ともに落ち着いてきた/日によって、骨格、筋肉、頭の位置など、意識する部分は変わり、重心と呼吸、というように複数のポイントを調合し、全身のバランスを考える/人間はインタビューを受けるべきだ、自分が主役になるし、話を聞いてもらうだけでもいい影響となる/基本的にテーマはない、心の成長が羨ましい、骨に刺激を与えると老化が遅く脳にも影響する/四股がどう馴染んでいるのか四股錯誤をしているが、まだ納得していない、運動しながら話すのはボケ防止になるのでとてもいい/など、メンバーそれぞれから様々なお話を聞くことができた。

 四股と感想戦が一緒になったので、今日は感想戦をやらない可能性もあったが、新企画の振り返りもしたかったので、1000回踏んだ後はいつものように感想戦タイムを続けた。四股を踏みながら話していくのは、脳に負荷がかかるので、今日のようなトーク型は時々でよい。いつものような自由型をメインに、トーク、カウントだけの日などのテーマ型は、週に一度くらいでもよいのではないかと話し合われた。

 コントラバス奏者の四戸さんは、コントラバスの駒を見せてくれた。顔の大きさほどある駒は、見事に五角形の腰割り姿勢であることに衝撃であった。四弦コントラバスは、この駒で180キロの張力を支えているという。大型力士一人分の重さである。バイオリンの駒は小さくなって蹲踞の姿勢だ。隠れ四股たんの神社は、五角形の鳥居があったり、五角形の茅の輪くぐりをしたり、腰割りの五角形信仰に熱いため、駒の五角形を知ったメンバー達は大喜びである。かんむりやマスク、小型化したネックレスとして、隠れ四股たんのグッヅにもなるだろう。評論家の松平あかねさんは最近、知り合いから「四股踏んでるでしょう?四股1000とかいう」と、小声で囁かれたそうだが、バレそうになった時はとぼけたり、相手の四股への見解を探ったり、駒ネックレスが見つかった時は、スペアの駒なんですとごまかすなど、隠れ四股たんの慎み方も議論された。

四股ノオト1
8/27 四股ノオト1
四股ノオト2
8/27 四股ノオト2

8/26 四股1000 百二十一日目 土俵築と弦築

 6名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。竹野相撲甚句体操より開始。本日のカウントは、四股1000メンバーによる七股相撲甚句まくら唄、日本語の数字、20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」、近況と質疑トーク、1歳から100歳、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、ネッテイ相撲、全員のカウントで1000回。

 JACSHA鶴見は、昨日の旧暦七月七日に四股1000メンバーで創作した、新作の七股甚句のまくら唄を2番分歌いながらカウント。1番分のまくら唄はほぼ100歩分。2番のまくら唄は、JACSHA野村がつくった「し」と「こ」の二文字のみでできたミニマルな句である。(四股1000メンバーによる旧暦七月七日七股相撲甚句参照)。歌手の松平敬さんがよくカウントする「松井茂短歌作品集」は、123の三文字をいろいろなバージョンでやってくださるが、野村の句も是非詠んで欲しい。

 野村が書き起こしている2016年のJACSHAフォーラム。昨日から音読が始まった1121日「呼出しについて」の今日は土俵築と弦築について。土俵作りのことを「土俵築」(どひょうつき)という独特の言い方をする。呼出しさんは、力士の呼び上げ、相撲の開始を告げる触れ太鼓や櫓太鼓のといった、お客さんから見える仕事、情報としての音を伝える役割があるほか、土俵作りをするのも重要な仕事である。そこから影響されて鶴見が作曲した作品が「弦築」(げんつき)。太棹三味線とチェロの弦楽器で演奏される。国技館で見学した土俵築が印象的だったようだ。柔らかい土の上での足踏みからはじまり、タコやタタキという道具でボコっボコっ、バチンバチンと叩かれ、徐々に土俵が固められていく。弦築では弦が音楽を作り上げていく。相撲太鼓のリズム、力士の呼び上げのメロディ、浄瑠璃「関取千両幟」の三味線曲弾きシーンも参照され、なぜか馬が走っているモンゴルの広大な草原をイメージしたシーンもあるという。楽譜や録音は展示されていたので、練習番号Oがそこであると解説していた。この馬走る草原シーンこそが、土俵築と弦楽器のイメージが重なる部分なのである。

 ピアニストの平良さんは、旧盆の準備のためのお墓掃除で筋肉痛のまま参加され(草刈りが大変らしい)、筋肉痛でやる四股の注意点はあるか?という質疑とトークをしながらのカウント。野村は何もないと答え、平良さんはどのように踏んでるかたずねると、無心に四股る、ということだった。

 やっちゃんは今日も、1歳から100歳まで数えるカウントで、それに野村誠の生涯が重なっていくのが面白かった。

 野村は二巡目のカウントで、ネッテイ相撲をした。ヨイ、ヨイ、ヨイ………(しばらく無言)、ヨイ、ヨイ、ヨイ………(しばらく無言)、ヨイ、ヨイ、ヨイ………(しばらく無言)、ヨイっ!!………(しばらく無言)の繰り返し。本来は、無言のところは動かずに次のヨイまでを過ごすのだが、四股を踏みながらなので、踏み続けつつネッテイ相撲聞をする。JACSHAには、本来のやり方にJACSHAの解釈を取り入れた、無言の時に周囲の音に耳を傾ける作品「ネッテイ相撲聞B.C.300」があり、何度かパフォーマンスをしたことがあるが、四股を踏み続けながらのネッテイ相撲聞はなんというか、新しい四股感覚の経験だった。もっとやってみたい。

 JACSHA樅山は、呼吸を意識して踏んでいたという。テンポによっても呼吸の仕方を変える。4歩分長く吐き、5歩目の直前に吸うのが楽だったという。鶴見は寝不足だったので、できるだけ体を楽にゆるめ、全身を整えることを意識したという。

 今日の平良さんの質疑トークのように、四股と感想戦が一緒になったようなカウントをやってみたらどうかと野村が提案した。その日の共通課題やテーマがあったり(数字だけのカウントの日とか)、「JACSHAの部屋」としてインタビュートークがあったり、どの面も四股にまつわるテーマが書かれたサイコロトークをしながら(四股、足裏、腰、四股との出会い、未来の四股と私)など、たくさんのアイデアが出された。明日は早速試してみたいと思う。

四股ノオト
8/26 四股ノオト

四股1000メンバーによる旧暦七月七日七股甚句

隠れ四股たんの暦、旧暦七月七日は特別な「七股」の日である。短冊に七股調で願い事を書くのが慣例だ。「七股」についておさらいしよう。

旧暦七月七日: 七股(ななこ、しちこ)【ナナ】

旧暦七月七日は隠れ四股たんにとっては特に神聖視される。野見宿禰と当麻蹴速の相撲、相撲節会も七月七日に行われた。通称「ナナの日」と呼ばれ、特別なエネルギーがでる「七股」を踏む日である。両脇の下から二匹の蛇が出入りすると言われる。自らのエネルギーで見えない蛇をコントロールできる者もいれば、脇から蛇やいろいろの飾りをぶら下げて踏む者もいる。この世とあの世を結ぶ七股である。現在の仮装盆踊り大会に名残りを見ることができる。短冊には蛇文字(相撲文字)で願い事が七股調(七五調)で書かれ、次々と唱えながら一晩中七股を踏み続ける。これは相撲甚句の発祥とも言われる。

というわけで、四股1000メンバーも旧暦七月七日の8月25日に、七股調で短冊に願い事などをしたためた。

集まった短冊を飾られた順に紹介。カッコ内は作者名。


(鶴見幸代)

同調いいな オフライン

同調しません あらがいます

楽器の土俵を 作りたい

松井茂の 変奏曲

ヒーフーミーの ポリフォニー

体重移動 滑らかに

ドスンじゃなくて ムニュ〜ムニュ〜

1000回踏んで 千歳四股(ちとせしこ)

(砂連尾理)

孤四股踏み踏み 足裏綿毛に

我が四股受けて 畳も浮かれる

(野村誠)

ここしここここ ししこしこここ

こここここここ ししししししし

こししここしこ しここししこし

ししししししし こここここここ

(平良明子)

ソロ四股、デュオ四股、みんなで四股

みんなで四股れば

「あたらしい生活様式」(笑)

四股でつながる 新世界!

(やっちゃん)

ヒグラシの声 浴びてしこたん

(松平あかね)

10時になると 四股だソワソワ

感想戦も 四股の延長

下駄をはいたり 鈴鳴らしたり

大地踏みしめ 生きるかすがい

今日はだれかな 参加するのは

いつもみる顔 見ない顔

誰が来たって ウェルカム四股1000

(やっちゃん)

天の川わたる しこたんの愛

集まった短冊から、夜な夜な唱えられた甚句の構成は下記の通りである。


四股1000メンバーによる旧暦七月七日七股甚句(2020.8.25)

作句:砂連尾理、平良明子、鶴見幸代、野村誠、松平あかね、やっちゃん

ハァー ドスコイ ドスコイ

1

(まくら唄: 前唄)

孤四股ヤー 踏み踏み 足裏綿毛に ハァー ドスコイ ドスコイ

我が四股ヤー 受けて 畳も浮かれる ハァー ドスコイ ドスコイ

(まくら唄: 後唄)

大地ヤー 踏みしめ 生きるかすがい ハァー ドスコイ ドスコイ

天の川ヤー わたる しこたんの愛 ハァー ドスコイ ドスコイ

(本唄)

ハァーエー

ハァー ドスコイ ドスコイ

誰が来たって ウェルカム四股1000 ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

ハァー

10時になると 四股だソワソワ

今日はだれかな 参加するのは (ホイ)

いつもみる顔 見ない顔 

下駄をはいたり 鈴鳴らしたり (ホイ)

ヒグラシの声 ヨーホホホイ

ハァー 浴びてしこたん ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

(はやし唄)

ハァー

ソロ四股、デュオ四股、みんなで四股 (ホイ)

四股でつながる 新世界!(ホイ)

みんなで四股れば あたらしい 生活様式 ()

ハァー ドスコイ ドスコイ

2

(まくら唄: 前唄)

ここしヤー ここここ ししこしこここ ハァー ドスコイ ドスコイ

こここヤー ここここ ししししししし ハァー ドスコイ ドスコイ

(まくら唄: 後唄)

こししヤー ここしこ しここししこし ハァー ドスコイ ドスコイ

しししヤー しししし こここここここ ハァー ドスコイ ドスコイ

(本唄)

ハァーエー

ハァー ドスコイ ドスコイ

感想戦も 四股の延長 ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

ハァー

楽器の土俵を 作りたい

松井茂の 変奏曲 (ホイ)

ヒーフーミーの ポリフォニー

体重移動 滑らかに (ホイ)

1000回踏んで ヨーホホホイ

ハァー 千歳四股(ちとせしこ) ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

(はやし唄)

ハァー

同調いいな オフライン (ホイ)

同調しません あらがいます (ホイ)

ドスンじゃなくて ムニュ〜ムニュ〜 

ハァー ドスコイ ドスコイ

 

 

8/25 四股1000 百二十日目 旧暦七月七日

 9名参加。東京、茨城、大阪、京都より参加。壁の股割り、理想の蹲踞、からのドゥミプリエ、ルルベの繰り返し、腰割りとイチロースタイル肩入れより開始。本日のカウントは、仲順流り、1歳から100歳、記事に載らない事件簿、「松井茂短歌作品集」(123ver.)、日本語の数字、20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、うたいきかせ般若心経(伊藤比呂美現代語訳、作曲:藤枝守)、全員のカウントで1000回。

 今日は四股1000を始めて120目、相撲に縁のある旧暦七月七日である。隠れ四股たんの歴史から、旧暦七月七日の項を紹介。これを読んでハッとしたが、まさに今日は脇から蛇が出てくることをみんなで思い出していた。やはり旧暦七月七日は特別な日なのである。

旧暦七月七日: 七股(ななこ、しちこ)【ナナ】

旧暦七月七日は隠れ四股たんにとっては特に神聖視される。野見宿禰と当麻蹴速の相撲、相撲節会も七月七日に行われた。通称「ナナの日」と呼ばれ、特別なエネルギーがでる「七股」を踏む日である。両脇の下から二匹の蛇が出入りすると言われる。自らのエネルギーで見えない蛇をコントロールできる者もいれば、脇から蛇やいろいろの飾りをぶら下げて踏む者もいる。この世とあの世を結ぶ七股である。現在の仮装盆踊り大会に名残りを見ることができる。短冊には蛇文字(相撲文字)で願い事が七股調(七五調)で書かれ、次々と唱えながら一晩中七股を踏み続ける。これは相撲甚句の発祥とも言われる。

 JACSHA鶴見は、七月七日(しちぐゎちたなばた)の歌詞から始まる、沖縄のエイサー音楽「仲順流り」(ちゅんじゅんながり)でカウント。エイサー音楽といえばお馴染みの囃子「ヒーヤーサーサー、ハーイーヤー、ナーティーチェー、ハーイーヤー」のコール&レスポンスも実施。沖縄では今日7/7からお盆の準備が始まるよ、若者が揃ってエイサーを踊る練習をしているよ、という歌だそうである。他に、七流り(ななながり)、七囃子(ななはやし)と、七がついた言葉遊びのような歌詞となっている。実際に、沖縄のピアニストの平良さんは、お盆の準備のため、お墓の掃除をしてきたとレポートしてくれた。「ヒーヤーサーサー」という掛け声は、地歌奏者の竹澤さんの地元のお祭りでの「イヤサカサッサ」と類似していると教えてくれた。栄えますように、との意味だろうと推測されるそうだ。エイサーというのは「エイサーエイサー」との掛け声をよくするため、エイサーと名付けられたのだろうとの説があるが、どんな意味かはよくわからない。竹澤さんの推測からすると、エイサーやヒーヤーサーサーも、栄えますように、と捉えるとしっくりくる。

 やっちゃんは、1から100を、1歳、2…100歳と、歳をつけてカウントした。シャウトしながら100歳まで歳を言っていくバンドのパクリであるそうだが、数字に歳がついただけで数字カウントの印象がだいぶ変わる。一歩ごとに歳を取るとあっという間に80歳、100歳になって、30分で1000歳だ。やっちゃんは、新月の時に1歳年をとるともう500歳くらいだろうかと言っていたが、歳の数え方がいろんな基準があるのは面白い。以前、ダンサーの砂連尾さんは、四股を一歩踏むたびに生まれ変わるとも言っていた気がする。一歩を1歳と数えることで、隠れ四股たんの行事が一つ増えた。七五三を隠語とする、千歳四股(ちとせしこ)である。下記:

1115: 千歳四股(ちとせしこ)【七五三】

七五三では千歳飴で長寿のお祝いをするように、隠れ四股たんでは、1歩を1歳と数えてカウントし、四股を1000歩踏んで千歳、長持ちする体と長寿を祈願をする。

 歌手の松平敬さんは、「松井茂短歌作品集」を、イチ、ニ、サンと、基本に立ち返って朗読。今日はそれと同時に、松平あかねさんが小声で1から100をカウントする声が重なり、数字のポリフォニーとなっていた。ヒーフーミーや和歌詠みヴァージョンなど、一二三の数字だけの作品であるが、様々なスタイルの朗読が魅力だ。これだけで1000回分の音源が欲しくなる。1000回踏める「松井茂のテーマによる変奏曲」に期待大である。

 コントラバス奏者の四戸さんはゆったりとした日本語の数字でカウント。体重がそのまま乗っかってドスンと落ちて膝を痛めないように、ゆっくりと足が降りるようなイメージで発音したという。それが影響して、竹澤さんはムニュ〜っとし、体の置くポイントが変化したそうだ。最近は、軸足を伸ばすことに意識を置いているが、四戸さんのカウントで、ゆっくり足を下ろす意図が伝わったという。松平あかねさんは、最近は滑らかな体重移動と足上げ、衝撃の少ない下ろし方を試しているという。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、今日から20161121日の「呼出しについて」が始まった。相撲聞芸術研究室(SHARS)を展示物としてだけでなく、活用するために、さいたまトリエンナーレの終盤、まさに土俵際になって、11/20から9回にわたるJACSHAフォーラムが始まったのだった。JACSHAには「土俵ぎワニ」というキャラクターがいるのだが、27敗から勝ち越す力士のように、土俵際に追い込まれてからJACSHAの本領は発揮される。SHARSには、土を20トンくらい運んで、楽器としての土俵をマジでを作りたかった、と語られる。そのために鶴見は大相撲九月場所の土俵作り(土俵築:どひょうつき、という)を見学した。さいトリでは残念ながら出来なかったが、楽器としての土俵作りの夢は今でも変わらない。

 四股1000のオンラインは、メンバーそれぞれ一人か、家族がいる場合は二人がオフラインで共に踏んでいる。オフの二人はどのように踏み合っているのか。JACSHA樅山とやっちゃんが二人でやった日々は、やっちゃん曰く、樅山の踏み込むドンという音が凄かったそうで、逆に樅山はやっちゃんに引き込まれそうだったと、二人ならではのアンサンブルが生じていた。また、やっちゃんは同じタイミングで踏むのが気持ち良かったが、樅山は同じになるのが嫌だったので、なるべく同調しないようにあらがって踏んだという。松平家は、あかねさんもあらがっちゃう派らしいが、900回代になるころには二人は同調をしている傾向にあるとメンバーが気づいた。メトロノームの同調原理のようである。複数人の四股アンサンブルが、オフラインでたくさん実施できる日々を切に願う。

四股ノオト
8/25 四股ノオト