8/25 四股1000 百二十日目 旧暦七月七日

 9名参加。東京、茨城、大阪、京都より参加。壁の股割り、理想の蹲踞、からのドゥミプリエ、ルルベの繰り返し、腰割りとイチロースタイル肩入れより開始。本日のカウントは、仲順流り、1歳から100歳、記事に載らない事件簿、「松井茂短歌作品集」(123ver.)、日本語の数字、20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、うたいきかせ般若心経(伊藤比呂美現代語訳、作曲:藤枝守)、全員のカウントで1000回。

 今日は四股1000を始めて120目、相撲に縁のある旧暦七月七日である。隠れ四股たんの歴史から、旧暦七月七日の項を紹介。これを読んでハッとしたが、まさに今日は脇から蛇が出てくることをみんなで思い出していた。やはり旧暦七月七日は特別な日なのである。

旧暦七月七日: 七股(ななこ、しちこ)【ナナ】

旧暦七月七日は隠れ四股たんにとっては特に神聖視される。野見宿禰と当麻蹴速の相撲、相撲節会も七月七日に行われた。通称「ナナの日」と呼ばれ、特別なエネルギーがでる「七股」を踏む日である。両脇の下から二匹の蛇が出入りすると言われる。自らのエネルギーで見えない蛇をコントロールできる者もいれば、脇から蛇やいろいろの飾りをぶら下げて踏む者もいる。この世とあの世を結ぶ七股である。現在の仮装盆踊り大会に名残りを見ることができる。短冊には蛇文字(相撲文字)で願い事が七股調(七五調)で書かれ、次々と唱えながら一晩中七股を踏み続ける。これは相撲甚句の発祥とも言われる。

 JACSHA鶴見は、七月七日(しちぐゎちたなばた)の歌詞から始まる、沖縄のエイサー音楽「仲順流り」(ちゅんじゅんながり)でカウント。エイサー音楽といえばお馴染みの囃子「ヒーヤーサーサー、ハーイーヤー、ナーティーチェー、ハーイーヤー」のコール&レスポンスも実施。沖縄では今日7/7からお盆の準備が始まるよ、若者が揃ってエイサーを踊る練習をしているよ、という歌だそうである。他に、七流り(ななながり)、七囃子(ななはやし)と、七がついた言葉遊びのような歌詞となっている。実際に、沖縄のピアニストの平良さんは、お盆の準備のため、お墓の掃除をしてきたとレポートしてくれた。「ヒーヤーサーサー」という掛け声は、地歌奏者の竹澤さんの地元のお祭りでの「イヤサカサッサ」と類似していると教えてくれた。栄えますように、との意味だろうと推測されるそうだ。エイサーというのは「エイサーエイサー」との掛け声をよくするため、エイサーと名付けられたのだろうとの説があるが、どんな意味かはよくわからない。竹澤さんの推測からすると、エイサーやヒーヤーサーサーも、栄えますように、と捉えるとしっくりくる。

 やっちゃんは、1から100を、1歳、2…100歳と、歳をつけてカウントした。シャウトしながら100歳まで歳を言っていくバンドのパクリであるそうだが、数字に歳がついただけで数字カウントの印象がだいぶ変わる。一歩ごとに歳を取るとあっという間に80歳、100歳になって、30分で1000歳だ。やっちゃんは、新月の時に1歳年をとるともう500歳くらいだろうかと言っていたが、歳の数え方がいろんな基準があるのは面白い。以前、ダンサーの砂連尾さんは、四股を一歩踏むたびに生まれ変わるとも言っていた気がする。一歩を1歳と数えることで、隠れ四股たんの行事が一つ増えた。七五三を隠語とする、千歳四股(ちとせしこ)である。下記:

1115: 千歳四股(ちとせしこ)【七五三】

七五三では千歳飴で長寿のお祝いをするように、隠れ四股たんでは、1歩を1歳と数えてカウントし、四股を1000歩踏んで千歳、長持ちする体と長寿を祈願をする。

 歌手の松平敬さんは、「松井茂短歌作品集」を、イチ、ニ、サンと、基本に立ち返って朗読。今日はそれと同時に、松平あかねさんが小声で1から100をカウントする声が重なり、数字のポリフォニーとなっていた。ヒーフーミーや和歌詠みヴァージョンなど、一二三の数字だけの作品であるが、様々なスタイルの朗読が魅力だ。これだけで1000回分の音源が欲しくなる。1000回踏める「松井茂のテーマによる変奏曲」に期待大である。

 コントラバス奏者の四戸さんはゆったりとした日本語の数字でカウント。体重がそのまま乗っかってドスンと落ちて膝を痛めないように、ゆっくりと足が降りるようなイメージで発音したという。それが影響して、竹澤さんはムニュ〜っとし、体の置くポイントが変化したそうだ。最近は、軸足を伸ばすことに意識を置いているが、四戸さんのカウントで、ゆっくり足を下ろす意図が伝わったという。松平あかねさんは、最近は滑らかな体重移動と足上げ、衝撃の少ない下ろし方を試しているという。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、今日から20161121日の「呼出しについて」が始まった。相撲聞芸術研究室(SHARS)を展示物としてだけでなく、活用するために、さいたまトリエンナーレの終盤、まさに土俵際になって、11/20から9回にわたるJACSHAフォーラムが始まったのだった。JACSHAには「土俵ぎワニ」というキャラクターがいるのだが、27敗から勝ち越す力士のように、土俵際に追い込まれてからJACSHAの本領は発揮される。SHARSには、土を20トンくらい運んで、楽器としての土俵をマジでを作りたかった、と語られる。そのために鶴見は大相撲九月場所の土俵作り(土俵築:どひょうつき、という)を見学した。さいトリでは残念ながら出来なかったが、楽器としての土俵作りの夢は今でも変わらない。

 四股1000のオンラインは、メンバーそれぞれ一人か、家族がいる場合は二人がオフラインで共に踏んでいる。オフの二人はどのように踏み合っているのか。JACSHA樅山とやっちゃんが二人でやった日々は、やっちゃん曰く、樅山の踏み込むドンという音が凄かったそうで、逆に樅山はやっちゃんに引き込まれそうだったと、二人ならではのアンサンブルが生じていた。また、やっちゃんは同じタイミングで踏むのが気持ち良かったが、樅山は同じになるのが嫌だったので、なるべく同調しないようにあらがって踏んだという。松平家は、あかねさんもあらがっちゃう派らしいが、900回代になるころには二人は同調をしている傾向にあるとメンバーが気づいた。メトロノームの同調原理のようである。複数人の四股アンサンブルが、オフラインでたくさん実施できる日々を切に願う。

四股ノオト
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