城崎レジデンス三日目 竹野の竹の楽器

9/30 三日目

朝10:30から城崎にきて初めての「四股1000」。四股1000は今年の4月28日から始まり、週に一度程度の休みを設けて続けている、オンラインで佐川流四股を1000回踏む稽古である。昨日は臨時の稽古休みとなってしまったが、今日で百五十六日目。JACSHA全員がオフラインで四股1000を出来るのは初めてどころか、城崎国際アートセンターのスタッフも一緒になり、オンラインで東京、京都、沖縄と繋いで11名が参加した。6月23日の「夏至股夜四股」(げしこよしこ)以来の、大勢でのオフライン四股1000の現場は喜びで溢れ、400回、500回…と進行していくにつれ、四股の濃度のようなものが高まっていく。興奮によってテンポはいつもよりも大分早かった。1000回の時に樅山が大胆に銅鑼を鳴らした。経験のあるスタッフは、オフライン四股1000がこんなに楽しいことに驚いた、事前学習をして臨んだ初めてのスタッフは、思ったよりハードだったという。今日は城崎での初回なのでセンターで行ったが、夏休みのラジオ体操のように、日替わりで温泉寺などの城崎周辺のいろいろな場所で実施したい。「世界は四股で出来ている」「世界の真実を知るために」

夕方過ぎから、今日も竹野へ向かった。竹野の竹の楽器を作っている笠浪さんを訪ねる。笠浪さんは「師匠」と呼ばれている。沢山の竹の楽器をご紹介いただいた。長い竹がログドラムのようにスリットが入っているもの、木琴のような竹琴、竹笛、三味線。どれも師匠の思いがこもった愛おしい楽器達だ。三味線の胴が可愛い顔になっている。演奏させてもらうと楽しくてとまらなかった。ルソン島で戦死されたおじさんのアコーディオンも演奏させてもらった。鍵盤やボタンを押さなくても、蛇腹を広げれば、ストラビンスキーやライヒの音楽のようなコードが鳴ってしまうほどの状態であったが、笠浪さんファミリーが音楽が大好きであることが、体中の血液を巡っていくような感覚がして、これまた止まらなくなる。成果発表コンサートに向けて、有難くいくつか楽器をお借りしてきた。ぶら下げ楽器をつけずに竹そのものだけの触れ太鼓など、竹野の方が作られた、竹野の竹の楽器での音楽作りが出来るなんて、なんと素敵で嬉しいことなのだろう。ありがとうございます。

今夜のジャクシャ飯ちゃんこは、お刺身、サラダのイカバター醤油炒め乗せ、ピリ辛こんにゃく、ゴーヤーの塩ナムル、豚味噌ちゃんこ。

城崎レジデンス初日、二日目 お手紙相撲甚句

9/28初日

夕方からJACSHAメンバー、十五日間ずっと張り付きで撮影してくださる映像作家の波田野州平さんが夕方過ぎより城崎温泉in。訳あって鶴見は別宿で単独行動。

9/29二日目

鶴見がめでたく合流。竹野小学校の金管バトンバンドクラブの子供たちへビデオレターを撮影。オリジナルの「お手紙相撲甚句」を作り、歌いながら竹野相撲甚句体操、昨年鶴見がアレンジした「竹野相撲甚句ファンファーレゲエ」を演奏したりして、子供たちへ思いを届ける。お昼のちゃんこは、最寄りの軽食喫茶スコーピオンでカレーを食べ、竹野へ向かう。二年振りの絶景。まずは10/11の滞在制作成果発表コンサートの会場となる、竹野子ども体験村へ。塩作り工場で、こだわりの塩作り論をうかがい、会場内と広大な周辺を、楽器を演奏したり、寝っ転がって虹を見たりしながらじっくり下見。浜でネッテイ相撲をし、相撲を取る。今日は波が大きく、充実の相撲聞を味わった。久々の竹野浜でのネッテイ相撲は感慨深い。江戸時代のご当地力士、下り松荘兵衛の石碑に案内していただく。竹野にはこれから毎日通うことを考えるとウキウキだ。

JACSHAのレジデンスといえば、恒例の日々のジャクシャ飯手作りちゃんこ。ちゃんこはちゃんこでも、今夜はガチちゃんこ鍋。相撲部屋の「湯豆腐ちゃんこ」を鶴見が、空芯菜炒めを波田野さん、レバー炒めを野村が作り、テーブルの見た目はほとんど相撲部屋。沖縄から差し入れのドラゴンフルーツも彩鮮やか。

夕食後は、今後の予定を詳しくシミュレーション。やりたいことを書き出し、来週火曜日のオンラインでの金管バトンバンドとのワークショップをどのようにするかを議論し、竹野での撮影をいつにするか。ホワイトボードのスケジュールが徐々に埋まっていく。


城崎国際アートセンターレジデンス開始

JACSHAは9/28より10/12まで、2018年秋以来、二度目となる城崎国際アートセンターでのレジデンスが始まります。今はちょうど、JACSHAメンバーが全国から城崎に移動中。10/11には滞在制作成果発表コンサートがあります!お近くの方は是非来てくださいね!素敵なチラシです。レジデンスの内容やレポートは随時お知らせしていきます〜。お楽しみに〜。


日本相撲聞芸術作曲家協議会(JACSHA

オペラ双葉山「竹野の段」成果発表コンサート

http://kiac.jp/jp/events/6831

日時:20201011日(土)14:00~(予定)

会場:竹野子ども体験村(豊岡市竹野町竹野3366

 ※竹野海水浴場東側徒歩30

料金:観覧無料!【※事前申込必要】

感染症対策について ※必ずお読みください。

37.5度以上の熱がある方、咳が出るなど体調不良の方は、ご来場をお控えください。同居の方に同様の症状がある場合も、来場をお控えください。

〇マスク着用でお越しください。

〇市外からの出演者・スタッフは全員PCR検査陰性を確認のうえ来豊しています。

〇会場入り口にて手指消毒・検温をお願いします。

〇適切な距離をとってご鑑賞いただきます。

観覧申込:城崎国際アートセンター

 電話 TEL 0796-32-3888(受付917 火曜休館)

 オンライン申込 

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfwuj-xKQrJsADGDGxX9JWtXb9EAh1KjyUqE4hjeFvxPkcfMw/viewform

9/26 四股1000 百五十二日目 九月場所十四日目 負けを続ける

5名参加。東京、京都より参加。新曲の作曲について、譜面が届かない窮地について、塾について、服部桜の連敗について、ポーランド語カウント、PCR検査について、粉を混ぜることについて、潔癖症について、フリートークで1000回。

大相撲9月場所(秋場所)14日目、abema TVで相撲を観戦しながらの四股。昨日、JACSHA野村とJACSHA里村が展覧会を見に行くと会場で、やっちゃんとばったり出会った。毎日、四股1000で出会っているが、里村とやっちゃんはリアルには初対面だった。あかねさんは、京大で働いている友人がいて、やっちゃんも京大で働いているので、知り合いではないかと気になっていたらしい。友人は医学部で働いているが、やっちゃんは東南アジア研で働いている。野村が、京大の東南アジア研で出会ったフィリピンのキュレーターDayang Yraolaは、今Composite by the Numbersというオンライン上の展覧会を企画していて、野村は現在そのための新曲を作曲中。コロナ禍の統計データをもとに楽譜をつくり演奏するという企画で、色々な国から20人のアーティストが参加している。

あかねさんは、今日の午後にレッスンをする曲の譜面が未だ届いていないらしく、気分がそわそわする。11月、12月、1月にそれぞれ別の曲を初演するが、その譜面も何一つ届いていない。だから、何かを準備したくても、何もできない。武士が戦いの前に座禅をして戦に備えたような心境。窮地に立たされた状況でできることは、座禅か四股くらいかもしれない。

やっちゃんの娘さんが、京大生が家庭教師的にやっている塾に喜んで通っているらしい。褒められるのがいいし、学校の教科にないような「自然」の授業があったりする。子どもの居場所になれる塾の存在が有難いように、そうした居場所としての式秀部屋に憧れて入門した力士もいるだろう。本日も式秀部屋の服部桜は、立合い当たると同時に、一直線に後退し、1秒後には勝負ありという速攻ならぬ速退相撲で連敗記録を更新した。勝ちを続けるのも素晴らしいことだが、負けを続けるのも突出した個性である。

あかねさんがパンづくりをする際、突然、松平さんが粉を混ぜることに開眼した話。その話から、手で握るおにぎりが美味しいのは、手にいるアミノ酸の効果だとか、ぬか漬けの話などになり、潔癖になり過ぎることの弊害の話などから、広大な敷地での単一種栽培などの弊害で気候変動などが起きている話にまで飛躍していく。多品種が並存する畑であれば、菌の多様性が得られてバランスが保たれる。大相撲の呼出しが型を教えないのも、各自が多様なアプローチで自分のスタイルを築くことで多様性を生み出すためだろう。今日も多様な話題に連鎖しながら、1000回を踏んだ。

9/24 四股1000百五十日目 九月場所十二日目 四股のおかげ

8名参加。東京、京都、大阪、沖縄より参加。150日目と城崎のレジデンス、ポーランド語テキスト、相撲実況、四股のおかげ、四股のおかげ2、イケメンとハンサムの違い、塩顔について、塩顔について、コントラバスのソフトケースについて、全員でのインプロヴィゼーションのうちに接続が切れて各自で踏んで1000回。

大相撲9月場所(秋場所)12日目、abema TVで相撲を観戦しながらの四股。祝「四股1000」150日目。ドスコナーレ!5ヶ月も続けると、体が変わることもある。地歌箏曲家の竹澤さんは、忘れ物を届けるためにダッシュした際に、以前では考えられない脚力で息もあがらず、四股の効果を実感した。コントラバス奏者の四戸さんは、NHKの太ももの柔軟性を鍛える講座を視聴した際、易々とできて四股の効果を実感した。四股による体質改善は嬉しい。四股で痩せるという報告もあれば、痩せないという報告もあり、個人差あり。

歌手のあかねさんは、連日、芸能人の若者たちと仕事をするため、イケメンとハンサムの違いについて考える。あかねさんにとって、呼出しの邦夫さんは、イケメンというよりはハンサム。単なる見た目だけではなく、知性を感じる。呼出しイケメンランキングのサイトで啓輔が一位。一方、箏曲家のゆうじさんは、出会いのアプリで出会った「塩顔」は、どんな顔かと問いかける。それに対して、やっちゃんは、さっぱりした顔なのではないかと推測する。ガラムマサラ顔とかもあるのだろうか?

竹澤さんが四戸さんにコントラバスのソフトケースの値段について質問した。箏のソフトケースが27,000円で、それよりも大きい十七絃のケースの方が若干安く25,000円。では、さらに大きいコントラバスはどうなのか。通常は、3万円程度で高いものは56,000円とかするが、ハードケースは40万など。ハードケースはケースだけで20kgで、昔のものだとケースだけで40kgという重量らしい。大相撲を観戦しながら、大きな楽器の重たいケースの話をするのも面白い。

沖縄に移動したJACSHA鶴見は、平良さんの車でワークショップ会場に移動していった。鶴見先生!

相撲を観戦して、勝負が決まった瞬間に各自が「勝負あり」と言うと、ずれるので、「勝負あり」のカノンになる。同時は同時ではない。アインシュタインの特殊相対性理論の世界を疑似体験できて楽しい。

9/23 四股1000 百四十九日目 九月場所十一日目 作曲の立ち合い、譜読みの立ち合い

 6名参加。東京、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。PCR検査キットの説明、PCR検査の予約の説明、オランダ語の詩、石川県出身の引退力士、数字カウント、ポーランド語のテキスト、作曲の立合いについて、譜読みの立合いについて、全員でのインプロヴィゼーションで1000回。

 大相撲9月場所(秋場所)11日目、abema TVで相撲を観戦しながらの四股。JACSHA鶴見は本日、空港の待合室からの参加。四股を踏んでいるうちに、待合室に誰もいなくなったそうだ。不審がられて離れていったのか、それとも偶然かは不明。JACSHAの城崎でのレジデンスが来週より始まるため、PCR検査をして陰性の照明が必要のため、鶴見はPCR検査キットを取り寄せ、本日、唾液で検査の後、発送。数日後に結果が出ると言う。一方、JACSHA野村とJACSHA里村は、既に京都の病院に検査予約済み。対面を避けて検査ができる仕組みは、日本独自のラブホテルの方式に通じる。

ピアニストの平良さんは、オランダ語の詩「沈黙」を再び読んだ。神という言葉がなんども出るが、娘さんへの詩であるらしい。七尾市出身の地歌箏曲家の竹澤さんが石川県引退力士で、七尾市出身の栃乃洋が最高位関脇であることを惜しがる。関脇から大関への壁は高い。

里村のポーランド語テキスト音読の背後で、野村がポーランド語でカウントをし、相撲の音とポーランド語2声のポリフォニーを生み出そうとしたが、弱い声で発したつもりの野村の声量が聞こえすぎたようだ。声量のバランスは難しい。しかし、里村はポーランド語の音読に熱中していたので、野村がポーランド語でカウントしていることに気づかず、野村がジェベンジェショントピエンチ(95)とカウントした時に、「そろそろ100かな」と言った。日々続けていると、数えなくても100が体感できるようになっている。

1勝3敗同士の取組が多く、負けると負け越しで来場所の番付が降格することが確定するため、大事をとっていつもより長い相撲が多い。思いっきりの良い立合いの話から、作曲における立合いの話になる。作曲に着手する時に、なかなか作曲に取り組めないで〆切が近づいてくることもあるが、野村は、作曲を始める(=作曲の立合い)を迷いなく、すぐに立てるように心がけている。立ち遅れると、すぐに土俵際に持っていかれるので、〆切よりも遥かに前に、立合い前に出ることを心がけている。

すると、演奏家にとっては、譜読みの立合いの話になった。コントラバス奏者の四戸さんは、ギリギリまでやらないで、だいたい次の日の曲を前日に譜読みすることが多いとのこと。もちろん、かなり前から見ないと難しい新曲では、そうではない。大相撲の力士たちも、翌日の対戦相手について、前日になって対策を立て始めるギリギリ派もいるかもしれないし、遥か前から入念に対策を練っていくタイプもいるだろう。

音楽家でない里村から、「譜読みとは?」という質問があり、平良さんが「楽譜を読んで曲を理解すること、伴奏の時は歌詞の意味も調べて言葉と音の関係なども読み解く。テクニカルなことよりも音楽的な内容を譜面から読み解く作業」と説明。クレッシェンドと書いてあっても、その裏にある作曲家の意図は何か、譜面を立体的に読んでいくことが重要になる。平良さんはオランダ留学でタイプの違う二人の先生につくことで、譜面の読み方を体得したそうだ。一方、野村は作曲家なので、譜読みする時は、ついつい作曲家がどのように作曲したのだろうと、譜面から作曲中のプロセスを想起することが多い。作曲の立合い、譜読みの立合い、今までなかった視点が得られたのも、長い相撲が多かったからだ。全勝同士の獅司ー北青鵬も、力の拮抗した長い相撲になった。

9/18 四股1000 百四十四日目 九月場所六日目 腰高、椅子低

 4名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。隅田川沿いレポート+相撲実況、城崎レジデンスに向けての話、胡弓の弓で弓取り式、朝の空の風景の話、滝廉太郎の「花」、魁傑―旭國の伝説の水入り相撲の話、遠藤について、相撲実況、全員でのインプロヴィゼーションで1000回。

 大相撲9月場所(秋場所)6日目、abema TVで相撲を観戦しながらの四股。JACSHA鶴見は本日、国技館で大相撲を観戦するので、国技館近くの隅田川沿いからの参加。風が強くi-padが飛びそうなほど。隅田川を水上バスが走っているのも風情がある。竹澤さんは、小学生時代に鼓笛隊でバトンをした経験があるそうで、胡弓の弓で弓取り式を試みる。部屋の中では、意外にぶつかりそうで危ない。ピアニストの平良さんは、先日、早朝の四股を踏んだので、朝の空の風景をありがたいと感じるそうだ。竹澤さんは通常、5−6時頃起床、JACSHA鶴見は8時、平良さんは8時半−9時頃、JACSHA野村は10時頃起きている。

 JACSHA野村は、小学生の頃に見た魁傑―旭國の10分に及ぶ伝説の水入りの取組について語った(19783月場所7日目、426秒の大相撲で水入り。さらに325秒でも勝負つかず再水入り、10分後に取り直し。取り直し後の一番が233秒で、合計1019秒)。

 コロナ禍で力水がない中、長い相撲になって水入りになったらどうなるのだろう?石川県出身の竹澤さんは、石川出身力士への思いが強い。昨日の遠藤は、片足で残ったいい相撲だった。遠藤は強い時は強いが、あっさり負ける時も多いので、応援する側としては気持ちを盛り上げるのが難しいようだ。

 平良さんより、昔の力士に比べて、長身で足の長い力士が増え、腰高の力士も増えたか、との質問がある。腰高に関しては、大横綱の双葉山、稀勢の里など、腰が高くても強い例もある。ピアノを弾く時の椅子の高さも色々だが、平良さんは、椅子をちょっと低めにしているそうだ。椅子の高さは、腕の長さや足の長さにも関係してくる。平良さんが以前共演したピアニストで、極端に椅子が低い人がいるそうだ。フランス留学で低い椅子のスタイルになったそうで、手首もかなり下げて、背中から弾くのだそうだ。楽器の奏法と重心の話は、いろいろ興味深い。