8名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。本日のカウントは、相撲大事典より顔が合う〜角觝(かくてい)、2016年11月21日JACSHAフォーラム「呼出しについて」「古式土俵入りについて」、日本語の数字(普、四股相撲、メロウ)、月刊相撲9月号より、やくみつるの「第二代おチャンコくらぶ」、式秀部屋その後フリートーク、全員のカウントで1000回。
JACSHA鶴見が連日カウントしている相撲大事典より、気になったワードのひとつ、「角觝」(かくてい)。『古代中国で力や武芸の技量を比べる格闘技を意味した。(中略)角觝の文字は、奈良時代に「相撲」「角力」の文字と前後して日本に伝わったが、日本では「相撲」の文字が多く使われ、現在に至っている。』と書かれている。JACSHA野村が、「中国芸能史」(傳起鳳、傳騰龍 訳:岡田陽一)にある、角觝図を見せてくれたが、ひらひらとした衣装を着けて、向かい合っている二人が、四股を踏んでいるような姿に見える。さらに事典で「相撲」(すもう)を調べてみると、『「角觝」は明治時代中期まで、「角力」は大正時代末期まで用いられ、現在は「相撲」の文字に統一されている。』とある。ということは、「相撲」だけにとらわれず、多様な「すもう」を表す文字がもっとあっても良いのだと思うと、すもうの世界がグッと広がる感じがする。
ピアニストの平良さんが、「初代高砂浦五郎~高砂浦五郎を賜るの段」の動画を見た感想を話し、野村は作曲秘話を教えてくれた。初演者の地歌奏者の竹澤さんも四股1000に参加しているので、竹澤さんの日々のいろいろなカウントの声を、毎日のように聞いていたことも参考となっていたり、四股を踏みながら作曲した、四股テンポの歌があることは面白かった。作品には触れ太鼓でもお馴染みの江戸言葉「じゃんぞーい」も登場する。「じゃぞい」「じゃぞえ」などとも使われる、現代で言えば「です」「だぞ」のような意味の言い回しだ。杵屋正邦作品「邦楽落語 がまの油」にも、力士呼び上げシーンには「じゃんぞーい」が付けられている(楽譜には、「角力の呼出し風に」と書いてある)。杵屋正邦氏も「じゃんぞーい」を聞いたことがあるのだ。今は、呼出しさんが触れ太鼓の初日の顔ぶれ口上のときにしか「じゃんぞーい」を聞かないが、かつてはいろいろな機会で言われて、今よりポピュラーだった可能性がある。
JACSHAの「じゃんぞーい」との出会いは5年前の9月場所触れ太鼓の時。相撲部屋、お店、個人宅など、国技館近くのエリアを回る触れ太鼓チームを追って見学させてもらった。はじめての言葉に衝撃を受け、「じゃ…?何と言ってるのですか?」と呼出しさんに質問した記憶がある」。「相撲が明日は、初日じゃんぞーい」のイントロ口上に続き、初日の取組の対戦力士を「◯◯には◯◯じゃんぞーい」と呼び上げて紹介する。コーダは「ご油断では詰まりますぞーい」。威勢よく「じゃんぞーい」や、「ぞーい」を付けて、お客さんを惹きつけていく、相撲興行の活気ある宣伝だ。これ以来、「じゃんぞーい」の虜になり、JACSHA式土俵祭りでも大胆に展開している。一方で、行司さんによる土俵上での顔触れ言上では、「はばかりながら、明日の取組をご披露つかますります〜」との格式高い口上にはじまり、対戦力士の言い方は「◯◯には◯◯」だけで、「じゃんぞーい」は付けられない。コーダは「右、相つとめまする間、明日もにぎにぎしく<柝>、おいでをお待ち申し上げたてまつります〜」。「じゃんぞーい」の「じゃ」もなく、始終威厳と格式をもった様式で行われる。伝承された時代背景の違いもあるかもしれない。こうした、取組の紹介だけでも、呼出しと行司ではかなり違うスタイルがあり、それぞれの役割がよく見えて面白いのも、相撲文化の魅力である。
竹澤さんは、「初代高砂浦五郎~高砂浦五郎を賜るの段」初演の記事が、なんとベースボールマガジン社の月刊相撲9月号に掲載されたので、記念に購入した本誌から、やくみつるの漫画「第二代おチャンコくらぶ」でカウント。今年は、幕尻力士か横綱のどちらかが優勝する、という異例の年となっているが、今場所も幕尻の逸ノ城が優勝したら、それはとんでも凄いことになる。かつては横綱昇進も期待されていたほどの怪物力士であるから、可能性は全くないとは言えないだろう。