6/5 四股トレ1000 三十九日目 西洋と東洋を繋ぐ

 12名参加。腰割りトレーニングから開始。それから、日本語の数字、筋肉とインナーマッスルの話、ポーランド語の数字、短歌、オーケストラの絵本の朗読、フライパン銅鑼をハーリー鐘風に沖縄民謡、全員のカウントで1000回。参加してもうすぐ1ヶ月となるダンサーの砂連尾さんは、この四股トレ1000に魅了されて大学の授業に取り入れ(バレエのプリエの前に四股をするととてもいいらしい)、オンラインに参加できない日は、一人で最低1000歩は踏んでいるとのこと。『西洋と東洋のメソッドは違うものと思っていたが、繋ぐポイントは四股だった、四股で全部繋がり始めたと』いう。そんな彼の日々のメニューは、四股1000回ー股割りー気功ー股割りー三点倒立ー股割りー太極拳ー股割りープリエ。四股で始まり、股割りを間奏曲、またはロンドのようにして、さまざまな動きの間にするのがいいらしい。JACSHAとしては、この股割り形式から、インテルメッツォ・マタワリ、もしくはロンド・マタワリを作ることになるだろう。JACSHA野村は、砂連尾さんの足裏に関するいろいろな気づきに影響されて、つま先立ちで100歩踏んでみたところ、ふらつかないように、無駄に重心を動かさず、体の真ん中、重心線を保つ意識が高まったということだ。

 映像作家の山城知佳子さん、シンガーソングライターのアラカキヒロコさんが初参加。思ったよりきつくなく、1000回後は体がポカポカと心地よく、代謝が上がっている状態を感じたそうだ。山城さんは、仕事柄、撮影時に重たいカメラを担いで動き回るのだが、その姿勢を実演してもらうと、脇を閉めて動く様はまるで力士が相撲を取っているかのように見える。砂連尾さんと山城さんが出会うきっかけになったエピソード「その地域の踊りがなくなると言葉もなくなる」という話題になった。「がまく」という沖縄の言葉がある。腰のあたりのどこかのことだったり、心身に影響する部分としても使われる。琉球舞踊で「がまくを入れる」と言ったりする。本来の「がまく」とは、腰のどこを指すのかが明確にあったが、現在は舞踊家によって違いがあり、「がまく」の伝承が途絶えるかもしれないとのことだ。「がまくを入れる」と、四股や相撲でいうところの「腰が決まる」は共通しているかもしれない。四股トレ1000をいろいろな地域で、そこに住む人々と一緒にやろうとの声が上がっている。四股を通して、その地特有の暮らしや身体性、様々な「がまく」のようなことに出会えるかもしれない。

 四股1000100人くらいでやったら、ベジャールのボレロよりいけるのではないか!という話題にもなった。四股ボレロ。たしかに、四股1000は既にボレロの感がある。フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルのオーケストラ作品「ボレロ」は、AB二種類のメロディが、いろいろな楽器が主旋律になって、AAB/AAB/AAB/AAB/…というように、シンプルに同じ構成が30クールくらい繰り返され、じわじわと盛り上がり、最後は恍惚として畳み掛けるようにいきなり終わる。四股1000もそんな感じ。ボレロは1クールごとにオーケストレーションが様々に変化するが、四股1000は一人ずつ100カウントを先導し、1000歩も踏み続けるので、参加者それぞれが色々な動きを試しているアンサンブルは、ぱっと聞いた感じ、ぱっと見た感じは気づきにくいけど、ボレロの一筋縄ではいかない複雑で細かく重ねられたスコアに似てる気がする。体内奥深いところがじわじわ変化していく感覚も音楽にしようと思ったら、ボレロのスコアがヒントかもしれない。

四股ノオト
6/5 四股ノオト

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