9名参加。東京、茨城、京都、福岡より参加。ルルベ、ドゥミプリエ、壁の股割り、腰割りから開始。本日のカウントは、JACSHA野村が読む相撲聞芸術フォーラム「相撲道と作曲道1」より、岩槻の子ども古式土俵入りの動きと相撲の技との共通点/テッポウの肩甲骨の回し方について、「中動態の世界」(國分功一郎著)、琉球古典音楽「述懐節」、宮城道雄三味線練習曲22番(二上り)、日本語の数字、「アリになった数学者」(森田真生著)、全員のカウントで1000回。参加者が10人未満のときは、ラスト100歩は全員一斉にそれぞれの仕方でカウントすることが多く、カオスだったりポリフォニーだったりヘテロフォニーだったりと毎回凄い音響になる。最近のテンポチェンジ四股稽古により、ラスト100歩のテンポもそれぞれになり、1000歩目がだいぶズレて終わるようになったのも面白い。今日の合奏カウントラスト100歩も印象深かった。それまでの900歩中にいろんな物語があり、ハードなテンポチェンジ四股を経たあとに、箏奏者の竹澤さんがメゾピアノで歌う「ゴンドラの唄」が、合奏カウントのカオスにうっすら浮かび上がる。一挙に力が抜け、まるで映画のエンドロールの中にいるような恍惚の四股だった。JACSHA樅山は、四股を踏みながら中動態に思いを馳せ、その後「アリになった数学者」の朗読を聞くことで、本当に自分の胸部から6本の脚が生えていて、それらを自由に動かせるような気がしたという。アリの視点で世界を見てから、ドラマチックなテンポチェンジを経て、自分の6本の脚を肩甲骨から回すイメージで四股を踏んでいたら、ゴンドラの唄が聴こえて来たので、自分は死んだのだろうかと感じたそうだ。四股を踏むことで誕生から死までを体験してしまった。これを名付けるならば「世の終わりのための四股奏曲」(作曲:メ四股アン)となるだろうか。
JACSHA野村が音読した、一ノ矢さんのテッポウの教えに応じて、四股を踏みながら人テッポウ、猫テッポウ、蟻テッポウと、肩甲骨と腕の動きも充実した。テッポウは一ノ矢さんによると『引く動きが大切だが、引きすぎると筋肉を使ってしまうので、引きすぎず、物足りないくらいが良い』とのことで、肩甲骨を大きく回すのではなく、前の方でやるイメージだ。この回転運動はいろいろなシーンに展開されていることが判明した。打楽器演奏時の重力にしたがう動きと引いて抜くときの連続した円運動、卵の泡立て、おじいちゃんが演奏するお祭りの囃子太鼓の、包容力のある柔らかいリズム(踊りたくなる)、シュッシュッと弦を摺るお箏の奏法「散し爪」は直線でなく回すように演奏する。前方回転運動に成功すると、これらが無理なく疲れずに一定のテンポでいくらでも繰り返し連続できるという。
JACSHA鶴見は、琉球古典音楽の難曲「述懐節」でテンポチェンジカウントに挑戦した。一歩一歩の長さが変化し、リテヌートも頻繁にありフェルマータもあるので、合わせて四股を踏むのは至難であるが、何度もやったら曲に慣れて踏めるようになるだろう。こうして、いろいろな楽器や音楽について四股やテッポウを通して学べてしまうのは嬉しい。日本の伝統的なテンポチェンジの音楽構成といえば「序破急」がある。知っているようでよく知らないので、学びたいと提案があった。いつしか四股1000で「序破急」も踏める日が来るかも知れない。