7/30 四股1000 九十四日目 七月場所十二日目 トントンストン

 9名参加。東京、京都、大阪、沖縄より参加。七月場所十二日目序二段の取組を観戦しながら実施。本日のカウントは、バッハ「フランス組曲ト長調」よりアルマンド、日本語の数字、コンサーティーナによる取組即興演奏、2016126JACSHAフォーラム、トントンストン即興、呼出し大将さんについて、コントラバスの弓取式、全員のカウント(トントンストン即興)1000回。

 JACSHA鶴見は、相撲と音楽の相性の実験として、バッハのアルマンドを演奏。コントラバス奏者の四戸さんは、神の視点で相撲を見ているようだったそうだ。四戸さんはコントラバスの弓で、弓取式に挑戦してみたが、弓取式の弓に比べるとだいぶ短いことがネックのようだった。JACSHA野村は、弓道の弓でコントラバス演奏をしたことがあるらしい。鶴見の楽曲作品に、弓取式をテーマにした、ヴァイオリンとピアノのための「毛弓取り甚句」があり、いつしか四戸さんのコントラバスでの演奏を願う。ラスト100回は、野村が現代音楽風のフリーインプロをピアノで奏で、それに反応するように四戸さんがトントンストンのリズムで即興セッション。低音のトントンストンはパンチが効いてカッコいい。

 歌手の松平敬さんは、ボタン式のアコーディオンのような、蛇腹のついた小型の楽器「コンサーティーナ」で、相撲の取組を見ながら即興演奏した。呼び上げから仕切りの時間中の静かな音楽と、立ち合い後からの激しい音楽へのダイナミックな切り替わりは、一つの楽器で演奏しているとは思えない柔軟さだ。野村は、グヴァイドゥーリナの作品のようだという。また、押したり引いたりしながら発音する楽器なので、それ自体が相撲の取組のようである。是非これからも相撲の音楽に活かしてほしい。

 野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、トントンストンから生まれた楽曲の話。トントンストンとは呼出しさんが演奏する相撲太鼓のリズムの一部のことである。鶴見はこれまで相撲太鼓のリズムをベースとした楽曲をたくさん作ってきた。「弦築」「BUTSUKARI」、「SUMO PIANO TAIKO」「一鍵一鍵」など。野村は、ベリオのセクエンツェアのよう、シリーズとしてまとめたらどうかと提案したが、鶴見はどれも同じネタであるのがバレるのは嫌だということで、隠れトントンストンシリーズと命名された。

 鶴見がカウントした、土俵上の呼出し大将さんについて、幼い頃から呼出しに憧れて、巡業にもよく行くので呼出しさんの中でも有名になり、夢叶って呼出しになり、絵本にもなったんだそうだ。相撲太鼓の勉強に、5年前の両国賑わい祭りで、呼出し利樹之丞さん、邦夫さんのデュエット相撲太鼓を見に行った時、期待の若手呼出しとして大将さんが紹介されて一番太鼓を演奏したという。土俵上の呼び上げの声も大きく真っ直ぐで気持ちいい。大将さんが立呼出しになるだろうあと40年後に、大将さんの結びの呼び上げを聞くのは人生の大きな夢だ。その時には、四股1000祭りをしたいとJACSHA樅山から提案がある。

 評論家の松平あかねさんは、呼出し重次郎さんはとてもいい声で、歌からすると逸材だ!と太鼓判を押す。また、行司と呼出しでは、声の方向が違うと解説してくれた。行司は水平方向に、呼出しは斜め上の方向だという。呼出しは、相撲太鼓もそうであるが、お客さんに向かって遠くにお知らせするために、行司は、神様や力士に対する呼び上げである、という役割の違いなのだろうと語り合う。

 JACSHAの夢である「相撲聞芸術大学」では、今時の大学に倣って、出席率は成績にはあまり影響しない、と想定されていたが、久しぶりに四股1000に参加した樅山は、四股1000は出席率が関係するという。確かに出来るだけ毎日踏むことが大事なのは間違いない。成績のランクは、相撲の番付に倣って、序ノ口〜横綱、引退、年寄まであるが、相撲聞芸術大学には卒業という概念はなく、一生学び続ける生涯大学として位置付けられる。