7/3 四股1000 六十七日目 高音と重心

 8名参加。東京、茨城、愛知、京都より参加。セカンドポジションでドゥミプリエ(腰割り)、ファーストポジションでドゥミプリエ2回、グランプリエ1回(蹲踞)、ルルベから開始。本日のカウントは、日本語の数字(黙想、片目、無心・精霊付、力強)、地菅攪、サティ「ソクラテス」第三楽章、うたいきかせ般若心経(伊藤比呂美現代語訳、作曲:藤枝守)、木村朝之助さんとJACSHAのトーク「岩槻と相撲と音楽2017」、「説経節」(伊藤比呂美現代語訳)、全員のカウントで1000回。

 ダンサーの砂連尾さんは、手を合わせて気持ちを落ち着かせてからの黙想(両目をつぶる)、片目を隠す、という普段の視覚情報と違う状態での四股踏みをリードしてくれた。片目は思ったよりおかしな感覚になる。両目より体の傾きを感じたり、体が偏っているのを気付いたり、重心が変わったりする。メンバーそれぞれの左右の見え方、視力、明るさの違いがあることを知る。双葉山は右目が見えなかったというが、常人ではない強さの理由の一つにこのこともあるのかもしれない。

 評論家の松平あかねさんは、高音のソプラノで「ソクラテス」を歌ってカウントした。重心を下げる四股踏みをしながら、高音で歌い続けるのはどういう感覚か尋ねると、高層の建築の土台が深いように、高音の発声ではより重心を下げるのだそうだ。四股と高音は相性がいいようだ。低音は声をたくさん出さず、垂らす程度に歌うという。発声するときの体内の筒のイメージのことも教えてくれた。これは西洋クラシック音楽独特の発声法で、習得するのはとても難しい。その他の伝統音楽や民謡では筒のイメージはしない。松平さんいわく『周波数を集めた歌い方』となる。西洋音楽は教会などの建築物と共鳴して声を出すことが違いの要因の一つであるそうだ。相撲の呼出しさんはどうかと言うと、呼出し邦夫さんの場合は、西洋スタイルの筒発声と、ホーミーのような周波数を集めた発声のどちらも合わせ持った独特の声のため、ファンからは邦オペラとも言われることがある。呼出し利樹之丞さんは典型的な周波数を集めた発声といえるだろう。

 シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」から、「四股に憑かれたジャレオ」というダジャレが思い付くほど四股にハマっている砂連尾さんの四股風の踊りで、隠れキリシタンのクレドと六段のように、松平あかねさんの歌と、竹澤さんの箏などの和楽器にアレンジした「月に憑かれたピエロ」をやってみたら面白そうと盛り上がる。指揮者がいないと演奏が難しいので、四股ンダクターも必須だ。隠れ四股たんのレパートリーが増えていく。

四股ノオト
7/3 四股ノオト