8/6 四股1000 百一日目 世界巡業の夢

 7名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。ルルベ、ドゥミプリエ、グランプリエ、壁の股割り、腰割りより開始。本日のカウントは、 「サガリ花と」(鶴見幸代作詞作曲)2016126JACSHAフォーラム、 85日読売新聞朝刊「土俵模様」、ねずみの道行解説(邦楽名曲辞典)、体幹は鎖骨で安定させる(体軸コンディショニングスクール)、日本語の数字、全員のカウントで1000回。

 JACSHA鶴見は、荒磯親方と何か仕事をできないか日々考えているという。オンラインで四股1000フォーラムにお誘いするのはどうかとJACSHA樅山が提案する。なるほど、四股について親方ととことんお話するのは有意義な会だ。しかし、会ったこともないのに、いきなりオンラインで顔を合わせることに不安を感じるが、評論家の松平あかねさんは、毎日の四股1000でメンバーとオンライン上で会うことに親しみを感じるという。そして久々にオフラインであった時の喜びが増すのだ。JACSHA野村は、このzoomでのオンラインを変わった会い方だという。全員が前を向いているからだ。オフラインで同じ人数が会合しても、全員の顔を正面から見ることはないだろう。ミッフィーはいつでも正面を向いているので愛される、ミッフィーの法則なのではないかとピアニストの平良さんは考える。荒磯親方と正面からお話しし、いつしかオフラインでお会いできることを願う。

 野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、JACSHA土俵祭りの世界巡業の夢で盛り上がっている。各地の人々が呼出し邦夫さんから教えを受け、トゥバ共和国ではホーミーのような、イタリアではオペラのような呼び上げ、といった具合に、各地域の特徴が色濃く出される巡業となるだろう。しかし、邦夫さんも一緒に海外へ赴くのは現実的には難しいだろうから、国内でできる呼出し認定式が考案される。JACSHA土俵祭りにある呼出しカルテットの一員として参加した人が、呼出しの洗礼を受けたことになり、伝達者として認められて海外で教えることができる。そうなると、現在の四股1000メンバーでの伝達者は、地歌奏者の竹澤さんである。

 松平あかねさんが音読した新聞記事は、双葉山のお孫さん、穐吉定世さん、次代さんの、七月場所を終えてのインタビュー記事。JACSHAがオペラ双葉山を作りたいと企画してから、女優でも活躍されている次代さんにお会いしてみたいと思いつつ、しばらく経ってしまっている。鶴見は場所中の国技館内で次代さんをお見かけしたことはあるが、お話ししたことはないそうだ。定世さんも共にJACSHAからもインタビューの機会を持てることを願う。

 ピアニストの平良さんは、鎖骨と脇の使い方の記事を読んでくれた。体幹を強くするポイントは「脇」を使えるようになることで、その前提として使えるようにしなければならないのが「鎖骨」だということ。これを聞いて四股を踏みながら、メンバーそれぞれ脇を動かしていく。これまでも、地歌奏者の竹澤さんから、腕は鎖骨のグリグリ部分から始まる、ダンサーの砂連尾さんから、脇から蛇が出入りするイメージ、ということを共有してきたが、まだまだ体幹についての研究は続いていく。

8/5 四股1000 百日目 サガリバナさがり

 7名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。ルルベ、ドゥミプリエ、グランプリエ、壁の股割り、腰割りより開始。本日のカウントは、サガリバナ(白井明大詩、鶴見幸代曲)、日本語の数字、2016126JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、「初代高砂浦五郎〜高砂浦五郎を賜るの段」(原案:松田哲博、作曲:野村誠)より語り部分、全員のカウントで1000回。

 JACSHA鶴見は、オリジナル曲の「サガリバナ」の歌三線でカウント。沖縄以南の地域で、一夜だけ咲く、フェロモン漂う良い香がする花だそうだ。フワフワした花弁のいくつもが枝から垂れ下がるようにして咲くのでサガリバナというらしい。そこでJACSHA野村はサガリバナのさがりを思いつく。サガリバナさがり。力士がまわしにつける現在のさがりは、かつては化粧回しだったのが、簡略化されて現在のような棒状のものとなっているが、時代を逆行して少し飾り気をだし、ちょっともぞもぞするかもしれないが、いい匂いのサガリバナさがりを付けた夜の相撲を是非見てみたい。

 地歌奏者の竹澤さんは、日曜日に初演となる「初代高砂浦五郎〜高砂浦五郎を賜るの段」の語り部分を練習として演奏下さった。歴史物のような内容も、浪曲の語り口調も、昔からあるような伝統曲に聞こえるのだが、一ヶ月ほど前に出来上がった作品だというので、とても不思議な感じだ。竹澤さんと作曲した野村による作品作りの話を聞きながら、さらに歴史の渦中のなかにいるような感覚になる。野村の楽譜は五線譜で、それを三味線の楽譜に竹澤さんが丁寧に書き起こし、それを見るためにコンタクトレンズを新調した。鶴見の「サガリバナ」も、初演時の共演者が三線用に丁寧に書き起こし、小さいので大きくコピーして見やすくした。ピアニストの平良さんは、楽譜を見るのに眼精疲労になるので、四股でほぐしているという。楽譜を見る演奏家にとって目はとても大事だ。

 そして今日は遂に四股1000を始めて百日目。おめでとう四股。およそ十万歩四股を踏んだことになる。

四股ノオト
8/5 四股ノオト

8/4 四股1000 九十九日目 前進できるカウント

 9名参加。東京、神奈川、茨城、京都、沖縄より参加。ルルベ、ドゥミプリエ、グランプリエ、壁の股割り、腰割りより開始。本日のカウントは、83日日刊スポーツ朝刊、日本語の数字、「疲れない体をつくる免疫力」(安保徹著)2016126JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、六月ウマチーについて、わらべ唄(高畑勲作詞作曲)、茶音頭の朗読、全員のカウントで1000回。

 七月場所が終わったので、相撲観戦はなく、四股1000の雰囲気はそれ以前に戻った感じ。JACSHA鶴見は、昨日の日刊スポーツ紙の、照ノ富士優勝で終えた七月場所特集を、稽古中の親方のように紙面を開いて読みながらカウント。怪我や病気で休場が長引き、大関から序二段まで降格してまで苦しんだ末に勝ち取った幕内最高優勝はとんでもない偉業である。場所中の四股1000は、だいたい序二段の取組を見ていたので、照ノ富士がここにいたイメージがしやすいとJACSHA野村はいう。それと比較して幕内の取組を見ると、相撲のスピードが早くなり、情報量が多くなると野村とJACSHA世話人里村はいう。JACSHA鶴見は、十両から幕内に上がったときはスピードが違うと力士が言っていたのを聞いたことがあるというし、四股1000をしながら序二段の実況を何度かやってみて、結構できるじゃん!と思っていたのは、序二段ではまだ追いつける相撲の攻防は、幕内になると同時にいろいろなことが起こっているので、かなり難しいことなのであると気づいたようだ。

 評論家の松平あかねさんが読んでくれた、「疲れない体をつくる免疫力」に書かれている、免疫力を高める簡単体操が、四股に似ていると紹介くださった、腰なでなで体操を試してみる。四股で軸足の腰から腿を、腕を真っ直ぐに下ろすようにしてなでる。とても簡単でジワジワ気持ちいい。四股をするときに腿をパチンと叩くのはお相撲さんによく見かけるが、なでるのは新鮮な感じがする。と思いきや、腰をなでるのは、ねってい相撲や笹踊りにも見られる所作であるとJACSHA樅山が指摘し、免疫力を高めることと合わせて、他の意味も何かありそうである。

 打楽器奏者の神田さんは、山登りをする際に、バテると四股1000のように、自然と100回カウントする癖がついたのだそうだ。100歩の山登りというのは結構進むらしいので、前進できるカウントを研究したいということだ。神田さんのカウントは、四股を踏みやすく、さすが打楽器奏者だなぁといつも思うので、是非研究を進めてほしい。また、七月場所を国技館で生観戦の際に、筋肉痛になるほどたくさんした拍手によって、肩の可動域が広くなったそうだ。カウントや拍手という何気ないシンプルな行いの繰り返しによって、体によりよく影響する発見は、四股1000にも通ずるものである。

四股ノオト
8/4 四股ノオト

8/2 四股1000 九十七日目 七月場所千穐楽 和洋弦楽器対決

 6名参加。東京、京都、大阪、沖縄より参加。ルルベ、ドゥミプリエ、グランプリエ、壁の股割り、腰割りより開始。七月場所千穐楽序二段〜三段目の取組を観戦しながら実施。本日のカウントは、千穐楽的な沖縄民謡(唐船どーい、弥勒節)2016126JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、沖縄県内のコロナ感染状況について(高山義浩)、十三弦箏と十七弦箏の即興取組、五弦コントラバスと十七弦箏、四弦コントラバスと十三弦箏の即興取組、全員のカウント(即興演奏)1000回。

 昨日の七月場所十四日目、幕内優勝争いを左右する結びの一番の、朝乃山ー照強戦の番狂わせは尾を引くものだった。見るからに朝乃山は緊張していた。JACSHA野村は演奏家に例えた。緊張している時にトライアングルは叩きたくない。たしかに、震えるような手で、トライアングルの繊細な一音を細心の注意を払って演奏しなくてはならないプレッシャーは計り知れない。照強はトライアングルのようだったのだ。それに比べると、大太鼓だったら緊張していても思い切り演奏できるだろう。本日の大事な結びの相手は正代だから、大太鼓を演奏するように正攻法で思い切り相撲を取って欲しい。

 JACSHA鶴見は、千穐楽的な沖縄民謡2曲でカウントした。沖縄本島では「唐船どーい」で賑やかに踊りながら千穐楽。石垣島など八重山地方では、八重山民謡の第九ともいわれる「弥勒節」(みるくぶし)で、しみじみと千穐楽となり、地方によって1イベントを締めくくる音楽や雰囲気が違うそうだ。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、昨日に引き続き、さいたまトリエンナーレでの「まちなか太鼓まわり」のこと。大相撲の櫓太鼓がかつては両国から品川まで聞こえたことや、触れ太鼓が野外を練り歩き、明日から相撲が始まるお知らせをする、という遠くから太鼓が聞こえるサウンドスケープに憧れ、2チームに分かれた触れ太鼓隊の音色が、岩槻のあちこちから聞こえてくる想定をしていた。しかし現代の屋外の音環境は、車などの騒音が充満し、高層の建物が音の伝達を阻むため、太鼓の音は余程近づかないと聞こえてこなかった。現在国技館の櫓太鼓も聞こえる範囲は半径数十メートルほどである。なので、触れ太鼓隊の数を増やすなどの、今後の課題が検討されていた。

 JACSHA世話人里村が連日音読している「説経節」は、弘法大師が凄い、という劇中劇のような部分。子供の頃は俗称を金魚丸と名付けられた。四股名のような可愛いネーミングである。鶴見は相撲を見ながら、〇〇丸という四股名の力士はもれなく丸っこい、と言っていたが、弘法大師の肖像画や彫刻を思い出してみるとなんとなく丸っこい印象がある。また鶴見が歌った弥勒節とリンクして、弥勒菩薩が登場した。

 ピアニストの平良さんは、沖縄でのコロナ感染状況の記事を読んだ。平良さんは沖縄在住で、鶴見と共に沖縄で音楽ワークショップを行なっている。そのために数日前から鶴見は沖縄に滞在しており、昨日と今日はワークショップのために四股1000は休場の予定であったが、緊急事態宣言が発令されワークショップは中止となり、昨日も今日も出場できている。刻一刻と悪化している状況は本当に心配だ。

 地歌奏者の竹澤さんは、体の両脇にお箏の十三弦と十七弦を立てかけ、なんと十三弦と十七弦の即興取組演奏をしてカウント下さった。それに触発されたコントラバス奏者の四戸さんは、五弦コントラバスと十七弦の箏を呼び上げ、違う弦楽器同士の取組即興演奏が始まった。勝敗は、コントラバスの弓を使ったことが武器とみなされ、反則負け。続いて、四弦コントラバスと十三弦箏の取組では、寄り切って四弦コントラバスの勝ち。それぞれの楽器のイメージ力士として、十三弦箏は阿炎、十七弦箏は照ノ富士、四弦コントラバスは琴欧州、五弦コントラバスは碧山である。

 ラスト100回は、四戸さんがコントラバスでマーラーの葬送行進曲を弾き始め、それに続くように竹澤さんの箏や野村のバス鍵盤ハーモニカが呼応していくセッション。四股1000は無理なく楽しめるものだが、四股は力士にとって辛く苦しいものであろう、という四戸さんの思いで、修行感のある葬送行進曲を演奏下さった。他のおすすめ曲は、ムソルグスキー作曲「展覧会の絵」より「ビドロ」。牛車で重い荷物を背負っていく感じが四股に合うのではないかと。

 七月場所を観戦しながらの四股1000は、お相撲さんの四股や相撲の動きから触発されてメンバーそれぞれの体にフィードバックされる、という身体的な影響もあれば、相撲と音楽のセッションを様々に試して楽しんだ、貴重なクリエイションタイムでもあった。今日で千穐楽なのは寂しい限りだが、九月場所は9/13が初日。それまでとにかく四股を踏み続けて行こう。

四股ノオト
8/2 四股ノオト

8/1 四股1000 九十六日目 七月場所十四日目 JACSHAフォーラム

 10名参加。東京、京都、福岡、沖縄より参加。七月場所十四日目序ノ口〜序二段の取組を観戦しながら実施。本日のカウントは、弓取式パフォーマンス、2016126JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、開脚ができるようになる方法、日本語の数字、ゲーム音楽、三段目優勝決定戦の期待、のカウントで1000回。

 JACSHA鶴見は、ヴァイオリンの弓で弓取式をした。昨年12月に小川和代さんが初演した「毛弓取り甚句」を作曲したときに、弓取式を研究し、所作のメモが残されている。パフォーマンスとしてとてもよかったので、今後のJACSHAのイベントでもやってみたい。「毛弓取り甚句」は、弓取式の所作を演奏や音に置き換えたそうなので、演奏の横で鶴見が弓取式をするのもいいだろう。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、さいたまトリエンナーレでの「まちなか太鼓まわり」のこと。触れ太鼓が3チームに分かれて、岩槻区内を回った。同じトントンストンのリズムであるのに、鶴見・呼出し邦夫チームはぶら下げ楽器が二基あったため太鼓を叩きまくりだったし、野村・神田チームはぶら下げ楽器が一基であったので、鍵ハモなど手持ちの楽器がたくさんあり音色豊かであった。こうしてトントンストンだけでもバラエティがあり、ポリフォニック岩槻の歌をやってみたい、という当時の詳細は、フォーラムを聞き直して思い出されたため、フォーラムの重要性を確認する。四股1000はもうすぐ百日目となるから、記念のJACSHAフォーラムを開催したいということになる。

 JACSHA世話人里村が連日音読している「説経節」。相撲と全然違う話を相撲と同時に聞くというのも面白い。鶴見は相撲の世界に遠近感が出るような感じがするといい、里村は、今より前の時代の精神性がパラレルになるようだという。ピアニストの平良さんが読んでくれた「開脚ができるようになる方法」を聞きながら相撲を見ると、夢だった股割りが本当にできるようになる気もしてくる。

 歌手の松平敬さんは、小型のシンセのサイン音で、ピコピコ音楽やスーパーマリオなどのゲーム音楽を演奏した。しかしほどなくして、相撲中継がCMに入ってしまい、取組とスーパーマリオの相性が見られなかったため、感想戦で野村が鍵ハモで取組を見ながらスーパーマリオを演奏した。音色は違うものの、なんとなく罪悪感を感じつつの相撲鑑賞になるのだが、だいぶ面白い。

 地歌奏者の竹澤さんは、三段目の優勝決定戦、深井ー夢道鵬での深井優勝と、朝乃山最高優勝と、高砂部屋のダブル優勝に期待を寄せるカウント。七月場所の優勝争いはかなり盛り上がって来た。連日ハラハラドキドキであるが、泣いても笑っても明日が千秋楽。楽しみだ。

7/31 四股1000 九十五日目 七月場所十三日目 服部桜論

 10名参加。東京、京都、大阪、沖縄より参加。背伸び&捻り、イチロースタイル腰割り、2ndポジション、1stポジションでドゥミプリエ、グランプリエから開始。七月場所十三日目序ノ口の取組を観戦しながら実施。本日のカウントは、十三日目解説、松井茂短歌作品集(和歌詠みスタイル)、ワインの美味しい飲み方、日本語の数字、2016126JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、全員のカウント(即興演奏)1000回。

 本場所の十三日目以降は、取組数が少なくなるので開始時間が遅くなる。開始時間と四股1000の時間が重なったので、開始を告げる柝の音をメンバーで共有できたのは感慨深い。最初の取り組みは、服部桜ー大子錦戦。ダンサーの砂連尾さんは、負けて花道を引き上げていく服部桜のすがすがしい背中が印象的だったという。悔しさを感じさせず、むしろ胸を張って帰っていくようだ、彼は勝負に捉われていないのだろうという。これはなんとも目から鱗の服部桜論なのではないだろうか。砂連尾さんは、合気道の先生と対戦するとき、私が自ら負けにいっている、自ら技をかかりにいって気持ちよい、ということがあるそうだ。服部桜にもし勝ちたい気持ちがあるのならば、なかなか白星をあげられない土俵に立ち続けるのは困難なはずだ。相撲がとても好きであるとか、相撲を何年も取り続けている服部桜なりの哲学があるのであろう。砂連尾さんはまた、序ノ口の吉野が、膝が直角に曲がっていていい四股だったと言う。今後の吉野にも注目だ。

 四股1000前には、バレエと相撲の動きをミックスした準備運動をする。演奏家は本番前に準備運動をするか尋ねたところ、ピアニストの平良さんが見せてくれた動きはテッポウだった。四戸さんはオーボエ奏者の準備運動というか心掛けとして見たことを教えてくれたが、指揮者に対して機嫌が悪くなった時に、下がってしまった口角を、楽屋の鏡の前で上げる練習をするという。確かに、管楽器奏者にとって口角の角度はダイレクトに音に影響してしまうだろう。口角が下がってしまったら音が鳴らない。元横綱稀勢の里も、土俵下で控えている時に、口角を上げて気持ちを高めていることがあったので、もしかしたら四股にも影響するかもしれない。明日からは口角も意識して踏んでみようと思う。

7/30 四股1000 九十四日目 七月場所十二日目 トントンストン

 9名参加。東京、京都、大阪、沖縄より参加。七月場所十二日目序二段の取組を観戦しながら実施。本日のカウントは、バッハ「フランス組曲ト長調」よりアルマンド、日本語の数字、コンサーティーナによる取組即興演奏、2016126JACSHAフォーラム、トントンストン即興、呼出し大将さんについて、コントラバスの弓取式、全員のカウント(トントンストン即興)1000回。

 JACSHA鶴見は、相撲と音楽の相性の実験として、バッハのアルマンドを演奏。コントラバス奏者の四戸さんは、神の視点で相撲を見ているようだったそうだ。四戸さんはコントラバスの弓で、弓取式に挑戦してみたが、弓取式の弓に比べるとだいぶ短いことがネックのようだった。JACSHA野村は、弓道の弓でコントラバス演奏をしたことがあるらしい。鶴見の楽曲作品に、弓取式をテーマにした、ヴァイオリンとピアノのための「毛弓取り甚句」があり、いつしか四戸さんのコントラバスでの演奏を願う。ラスト100回は、野村が現代音楽風のフリーインプロをピアノで奏で、それに反応するように四戸さんがトントンストンのリズムで即興セッション。低音のトントンストンはパンチが効いてカッコいい。

 歌手の松平敬さんは、ボタン式のアコーディオンのような、蛇腹のついた小型の楽器「コンサーティーナ」で、相撲の取組を見ながら即興演奏した。呼び上げから仕切りの時間中の静かな音楽と、立ち合い後からの激しい音楽へのダイナミックな切り替わりは、一つの楽器で演奏しているとは思えない柔軟さだ。野村は、グヴァイドゥーリナの作品のようだという。また、押したり引いたりしながら発音する楽器なので、それ自体が相撲の取組のようである。是非これからも相撲の音楽に活かしてほしい。

 野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、トントンストンから生まれた楽曲の話。トントンストンとは呼出しさんが演奏する相撲太鼓のリズムの一部のことである。鶴見はこれまで相撲太鼓のリズムをベースとした楽曲をたくさん作ってきた。「弦築」「BUTSUKARI」、「SUMO PIANO TAIKO」「一鍵一鍵」など。野村は、ベリオのセクエンツェアのよう、シリーズとしてまとめたらどうかと提案したが、鶴見はどれも同じネタであるのがバレるのは嫌だということで、隠れトントンストンシリーズと命名された。

 鶴見がカウントした、土俵上の呼出し大将さんについて、幼い頃から呼出しに憧れて、巡業にもよく行くので呼出しさんの中でも有名になり、夢叶って呼出しになり、絵本にもなったんだそうだ。相撲太鼓の勉強に、5年前の両国賑わい祭りで、呼出し利樹之丞さん、邦夫さんのデュエット相撲太鼓を見に行った時、期待の若手呼出しとして大将さんが紹介されて一番太鼓を演奏したという。土俵上の呼び上げの声も大きく真っ直ぐで気持ちいい。大将さんが立呼出しになるだろうあと40年後に、大将さんの結びの呼び上げを聞くのは人生の大きな夢だ。その時には、四股1000祭りをしたいとJACSHA樅山から提案がある。

 評論家の松平あかねさんは、呼出し重次郎さんはとてもいい声で、歌からすると逸材だ!と太鼓判を押す。また、行司と呼出しでは、声の方向が違うと解説してくれた。行司は水平方向に、呼出しは斜め上の方向だという。呼出しは、相撲太鼓もそうであるが、お客さんに向かって遠くにお知らせするために、行司は、神様や力士に対する呼び上げである、という役割の違いなのだろうと語り合う。

 JACSHAの夢である「相撲聞芸術大学」では、今時の大学に倣って、出席率は成績にはあまり影響しない、と想定されていたが、久しぶりに四股1000に参加した樅山は、四股1000は出席率が関係するという。確かに出来るだけ毎日踏むことが大事なのは間違いない。成績のランクは、相撲の番付に倣って、序ノ口〜横綱、引退、年寄まであるが、相撲聞芸術大学には卒業という概念はなく、一生学び続ける生涯大学として位置付けられる。

7/29 四股1000 九十三日目 七月場所十一日目 呼出しのオペラ配役

 8名参加。東京、茨城、京都、大阪、福岡より参加。大相撲十一日目をAbema TVで観戦しながら。本日のカウントは、相撲観戦レポート、2016126JACSHAフォーラム音読、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)音読、地歌「茶音頭」解説、数字カウント、数字カウント、相撲観戦レポートと神明裁判、数字カウント、2016126JACSHAフォーラム音読、全員での即興で1000回。

 JACSHA鶴見は昨日の国技館での相撲観戦で、行司さんの背中をじっくり鑑賞。左肩が少し下がる独特な背中が特徴。ソプラノ歌手のあかねさんも昨日、国技館で相撲を観戦されて、声を味わったそうで、「邦夫さんロブスト、利樹之氶さんレッジェーロ、重太郎さんスピント。幸司さん、スピント系キャラクターテノール。適応する役、ミーメ、ローゲなど。」と呼出しさんのオペラ配役を考えているうちに、テノールが多いことに気付いた。逆に行司はバリトンが多い。国技館で鑑賞しているうちに、神明裁判を類推されたとのこと。確かに、行司は裁きをすると言う。神明裁判とは、神意を得ることにより、物事の真偽、正邪を判断する裁判方法。相撲神事は豊作を祈願する神事であると同時に、豊作や吉凶を占う占手相撲であったとも言われる。相手の命を奪う決闘ではなく相手の戦意を奪うことで裁きを確定する。九州の大雨を豊作を占う神事が示していたり、東日本大震災を塩釜の豊作を占う神事で予知されていたとの報告もあるらしい。古代日本の盟神探湯(くがたち)という神明裁判についても、リサーチの必要を感じる。四股1000は、相撲聞芸術大学でもあり、相撲聞芸術研究室でもある。

 JACSHA野村のJACSHAフォーラム音読では、さいたまトリエンナーレの当時のスタッフだった蟻川さんから、JACSHAは、3人のチーム名ではなく、広がっていってプロジェクト名になってもいい。を超えてJACSHAという現象になっていくといいのでは、との指摘。JACSHA現象になっていきたい。相撲のリズムを独特にする「ストニコ」の話をすると、四戸さんから「春の祭典」のリズムを「ブタブタ、子ブタ」と当てはめていくと、一箇所だけ「親ブタ」のところがあるとのこと。また、栃木県樅山町生子神社の赤ちゃん相撲のリサーチ構想も語られるが未だ実現せず。JACSHA樅山の妹であるやっちゃんは、以前タクシーの運転手から、樅山姓の人ばかりが住む福井のある村の話を聞いたことがあるらしい。その人たちの先祖は忍者だというが、謎に包まれている。福井の樅山姓と栃木の樅山町に繋がりはあるのだろうか。昨日は、相撲聞芸術大学の構想の下りを読んだが、今日は相撲聞芸術サミットの話が語られた。福井の東郷地域の登短為神社の花山行事の練り歩きでは、数年前から女子も参加するようになっている。岩槻の古式土俵入りに女子が加わる時代も近いのかもしれない。JACSHA世話人の里村が音読した「説経節かるかや」では、女人禁制の高野山をかるかやの妻と息子が訪ねようとする場面に差し掛かる。女人禁制の山、相撲、祭りなどあるが、日本書紀での相撲の初出は、采女による相撲である。

 竹澤さんによる三味線を六下がりという珍しい調弦にする「茶音頭」について解説。茶の湯の事物で艶麗な相愛を歌う地歌。聞いてみたい。作詞は伊勢屋みつ。竹澤さんは最後の900番代の即興で、石川県出身力士の名前を言う中で、深井が高砂部屋であることから、もし出世して四股名が「朝深井」になったら、浅いのか深いのか?でも、高砂親方が定年になって代替わりしたら、高砂部屋は朝をつけ続けるのだろうか?元々は、高見山、水戸泉、富士桜など、朝潮以外は朝がついていなかったし、朝青龍や朝赤龍にしても若松部屋時代から朝はついていたので、今後、高砂部屋では朝がつくのだろうか?と話し合う。相撲をじっくり見られるからシンプルに数字カウントにする選択も多かった。熱戦が続く中、まだ髷が結えない夢道鵬の強さが光った。一気に上まで駆け上がっていきそうな予感。JACSHA鶴見は、四股の途中で搭乗し、沖縄へ飛ぶ。

四股ノオト
7/29 四股ノオト

7/28 四股1000 九十二日目 七月場所十日目 敗者に寄り添う音楽

 5名参加。東京、京都より参加。七月場所九日目序二段の取組を観戦しながら実施。本日のカウントは、日本語の数字、「千鳥の曲」波の手事、相撲聞芸術フォーラム(2016.12.6)、竹野相撲甚句、十七弦調弦、「説経節」(伊藤比呂美現代語訳)、全員のカウント(即興演奏)1000回。

 地歌奏者の竹澤さんは、お箏は相撲に合うかしらと、十三弦、十七弦を演奏くださった。十三弦の音色は、十両以上の相撲に合う気がした。化粧回しを付けていたり、行司さんが裸足じゃなかったり。倍音が多いので、いろんな色が見えてくるからだろうか。十七弦の低く太い音色は、格付けによらずどの相撲にも合う気がしてとても面白い。演奏姿もテッポウをしているようである。

 JACSHA野村が書き起こして、今日から音読が始まった相撲聞芸術フォーラム。JACSHAの夢の一つである「相撲聞芸術大学」の創立について、JACSHA鶴見はすっかり忘れていたらしい。建築科や舞踊科などコースも多義に渡る。大学では毎日、四股・テッポウをやるそうだ。ということはつまり、毎日の四股1000は、知らずのうちに大学のリモート授業を実施していることになっているのではないか。単位や資格、試験、シラバスについても考えていかねばならない。

 ラスト100回の即興演奏で始めの頃、野村がピアノで、野村風ともサティ風とも坂本龍一風とも聞こえるような音楽を演奏した。相撲に音楽を付けるとしたら思いつかないような意外なマッチング。こういうのも面白い。そして土俵上では優勢だった力士、闘鵬さんが負けてしまった。無念の黒星の余韻を味わうように、竹澤さんと野村は、敗者に寄り添うように音楽を即興した。それだけにドラマチックで音楽的な負け方であった。相撲節会では勝者へ向けた雅楽が演奏されたそうだし、勝者を称える音楽は現在でもいろいろな機会で耳にする気がするが、敗者の音楽というのはあまり聞かない。これがあったせいか、今日一番の注目取組である朝乃山ー御嶽海戦で、朝乃山が大きく投げられる瞬間に、お箏の乱れたような音楽が脳内再生し、一瞬がスローモーションに見えた。取組後、今場所初黒星を喫し、土俵下で座っている朝乃山の背中からは、ずっと音楽が流れていた。

 鶴見は両国公園から参加した。土俵のような広場があったり、土のエリアもあるので、先月隅田川沿いでやったように、今後の四股1000オフライン会場としても良さそうだと提案があった。

四股ノオト
7/28 四股ノオト