8/26 四股1000 百二十一日目 土俵築と弦築

 6名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。竹野相撲甚句体操より開始。本日のカウントは、四股1000メンバーによる七股相撲甚句まくら唄、日本語の数字、20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」、近況と質疑トーク、1歳から100歳、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、ネッテイ相撲、全員のカウントで1000回。

 JACSHA鶴見は、昨日の旧暦七月七日に四股1000メンバーで創作した、新作の七股甚句のまくら唄を2番分歌いながらカウント。1番分のまくら唄はほぼ100歩分。2番のまくら唄は、JACSHA野村がつくった「し」と「こ」の二文字のみでできたミニマルな句である。(四股1000メンバーによる旧暦七月七日七股相撲甚句参照)。歌手の松平敬さんがよくカウントする「松井茂短歌作品集」は、123の三文字をいろいろなバージョンでやってくださるが、野村の句も是非詠んで欲しい。

 野村が書き起こしている2016年のJACSHAフォーラム。昨日から音読が始まった1121日「呼出しについて」の今日は土俵築と弦築について。土俵作りのことを「土俵築」(どひょうつき)という独特の言い方をする。呼出しさんは、力士の呼び上げ、相撲の開始を告げる触れ太鼓や櫓太鼓のといった、お客さんから見える仕事、情報としての音を伝える役割があるほか、土俵作りをするのも重要な仕事である。そこから影響されて鶴見が作曲した作品が「弦築」(げんつき)。太棹三味線とチェロの弦楽器で演奏される。国技館で見学した土俵築が印象的だったようだ。柔らかい土の上での足踏みからはじまり、タコやタタキという道具でボコっボコっ、バチンバチンと叩かれ、徐々に土俵が固められていく。弦築では弦が音楽を作り上げていく。相撲太鼓のリズム、力士の呼び上げのメロディ、浄瑠璃「関取千両幟」の三味線曲弾きシーンも参照され、なぜか馬が走っているモンゴルの広大な草原をイメージしたシーンもあるという。楽譜や録音は展示されていたので、練習番号Oがそこであると解説していた。この馬走る草原シーンこそが、土俵築と弦楽器のイメージが重なる部分なのである。

 ピアニストの平良さんは、旧盆の準備のためのお墓掃除で筋肉痛のまま参加され(草刈りが大変らしい)、筋肉痛でやる四股の注意点はあるか?という質疑とトークをしながらのカウント。野村は何もないと答え、平良さんはどのように踏んでるかたずねると、無心に四股る、ということだった。

 やっちゃんは今日も、1歳から100歳まで数えるカウントで、それに野村誠の生涯が重なっていくのが面白かった。

 野村は二巡目のカウントで、ネッテイ相撲をした。ヨイ、ヨイ、ヨイ………(しばらく無言)、ヨイ、ヨイ、ヨイ………(しばらく無言)、ヨイ、ヨイ、ヨイ………(しばらく無言)、ヨイっ!!………(しばらく無言)の繰り返し。本来は、無言のところは動かずに次のヨイまでを過ごすのだが、四股を踏みながらなので、踏み続けつつネッテイ相撲聞をする。JACSHAには、本来のやり方にJACSHAの解釈を取り入れた、無言の時に周囲の音に耳を傾ける作品「ネッテイ相撲聞B.C.300」があり、何度かパフォーマンスをしたことがあるが、四股を踏み続けながらのネッテイ相撲聞はなんというか、新しい四股感覚の経験だった。もっとやってみたい。

 JACSHA樅山は、呼吸を意識して踏んでいたという。テンポによっても呼吸の仕方を変える。4歩分長く吐き、5歩目の直前に吸うのが楽だったという。鶴見は寝不足だったので、できるだけ体を楽にゆるめ、全身を整えることを意識したという。

 今日の平良さんの質疑トークのように、四股と感想戦が一緒になったようなカウントをやってみたらどうかと野村が提案した。その日の共通課題やテーマがあったり(数字だけのカウントの日とか)、「JACSHAの部屋」としてインタビュートークがあったり、どの面も四股にまつわるテーマが書かれたサイコロトークをしながら(四股、足裏、腰、四股との出会い、未来の四股と私)など、たくさんのアイデアが出された。明日は早速試してみたいと思う。

四股ノオト
8/26 四股ノオト

四股1000メンバーによる旧暦七月七日七股甚句

隠れ四股たんの暦、旧暦七月七日は特別な「七股」の日である。短冊に七股調で願い事を書くのが慣例だ。「七股」についておさらいしよう。

旧暦七月七日: 七股(ななこ、しちこ)【ナナ】

旧暦七月七日は隠れ四股たんにとっては特に神聖視される。野見宿禰と当麻蹴速の相撲、相撲節会も七月七日に行われた。通称「ナナの日」と呼ばれ、特別なエネルギーがでる「七股」を踏む日である。両脇の下から二匹の蛇が出入りすると言われる。自らのエネルギーで見えない蛇をコントロールできる者もいれば、脇から蛇やいろいろの飾りをぶら下げて踏む者もいる。この世とあの世を結ぶ七股である。現在の仮装盆踊り大会に名残りを見ることができる。短冊には蛇文字(相撲文字)で願い事が七股調(七五調)で書かれ、次々と唱えながら一晩中七股を踏み続ける。これは相撲甚句の発祥とも言われる。

というわけで、四股1000メンバーも旧暦七月七日の8月25日に、七股調で短冊に願い事などをしたためた。

集まった短冊を飾られた順に紹介。カッコ内は作者名。


(鶴見幸代)

同調いいな オフライン

同調しません あらがいます

楽器の土俵を 作りたい

松井茂の 変奏曲

ヒーフーミーの ポリフォニー

体重移動 滑らかに

ドスンじゃなくて ムニュ〜ムニュ〜

1000回踏んで 千歳四股(ちとせしこ)

(砂連尾理)

孤四股踏み踏み 足裏綿毛に

我が四股受けて 畳も浮かれる

(野村誠)

ここしここここ ししこしこここ

こここここここ ししししししし

こししここしこ しここししこし

ししししししし こここここここ

(平良明子)

ソロ四股、デュオ四股、みんなで四股

みんなで四股れば

「あたらしい生活様式」(笑)

四股でつながる 新世界!

(やっちゃん)

ヒグラシの声 浴びてしこたん

(松平あかね)

10時になると 四股だソワソワ

感想戦も 四股の延長

下駄をはいたり 鈴鳴らしたり

大地踏みしめ 生きるかすがい

今日はだれかな 参加するのは

いつもみる顔 見ない顔

誰が来たって ウェルカム四股1000

(やっちゃん)

天の川わたる しこたんの愛

集まった短冊から、夜な夜な唱えられた甚句の構成は下記の通りである。


四股1000メンバーによる旧暦七月七日七股甚句(2020.8.25)

作句:砂連尾理、平良明子、鶴見幸代、野村誠、松平あかね、やっちゃん

ハァー ドスコイ ドスコイ

1

(まくら唄: 前唄)

孤四股ヤー 踏み踏み 足裏綿毛に ハァー ドスコイ ドスコイ

我が四股ヤー 受けて 畳も浮かれる ハァー ドスコイ ドスコイ

(まくら唄: 後唄)

大地ヤー 踏みしめ 生きるかすがい ハァー ドスコイ ドスコイ

天の川ヤー わたる しこたんの愛 ハァー ドスコイ ドスコイ

(本唄)

ハァーエー

ハァー ドスコイ ドスコイ

誰が来たって ウェルカム四股1000 ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

ハァー

10時になると 四股だソワソワ

今日はだれかな 参加するのは (ホイ)

いつもみる顔 見ない顔 

下駄をはいたり 鈴鳴らしたり (ホイ)

ヒグラシの声 ヨーホホホイ

ハァー 浴びてしこたん ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

(はやし唄)

ハァー

ソロ四股、デュオ四股、みんなで四股 (ホイ)

四股でつながる 新世界!(ホイ)

みんなで四股れば あたらしい 生活様式 ()

ハァー ドスコイ ドスコイ

2

(まくら唄: 前唄)

ここしヤー ここここ ししこしこここ ハァー ドスコイ ドスコイ

こここヤー ここここ ししししししし ハァー ドスコイ ドスコイ

(まくら唄: 後唄)

こししヤー ここしこ しここししこし ハァー ドスコイ ドスコイ

しししヤー しししし こここここここ ハァー ドスコイ ドスコイ

(本唄)

ハァーエー

ハァー ドスコイ ドスコイ

感想戦も 四股の延長 ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

ハァー

楽器の土俵を 作りたい

松井茂の 変奏曲 (ホイ)

ヒーフーミーの ポリフォニー

体重移動 滑らかに (ホイ)

1000回踏んで ヨーホホホイ

ハァー 千歳四股(ちとせしこ) ヨー

ハァー ドスコイ ドスコイ

(はやし唄)

ハァー

同調いいな オフライン (ホイ)

同調しません あらがいます (ホイ)

ドスンじゃなくて ムニュ〜ムニュ〜 

ハァー ドスコイ ドスコイ

 

 

8/25 四股1000 百二十日目 旧暦七月七日

 9名参加。東京、茨城、大阪、京都より参加。壁の股割り、理想の蹲踞、からのドゥミプリエ、ルルベの繰り返し、腰割りとイチロースタイル肩入れより開始。本日のカウントは、仲順流り、1歳から100歳、記事に載らない事件簿、「松井茂短歌作品集」(123ver.)、日本語の数字、20161121JACSHAフォーラム「呼出しについて」、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、うたいきかせ般若心経(伊藤比呂美現代語訳、作曲:藤枝守)、全員のカウントで1000回。

 今日は四股1000を始めて120目、相撲に縁のある旧暦七月七日である。隠れ四股たんの歴史から、旧暦七月七日の項を紹介。これを読んでハッとしたが、まさに今日は脇から蛇が出てくることをみんなで思い出していた。やはり旧暦七月七日は特別な日なのである。

旧暦七月七日: 七股(ななこ、しちこ)【ナナ】

旧暦七月七日は隠れ四股たんにとっては特に神聖視される。野見宿禰と当麻蹴速の相撲、相撲節会も七月七日に行われた。通称「ナナの日」と呼ばれ、特別なエネルギーがでる「七股」を踏む日である。両脇の下から二匹の蛇が出入りすると言われる。自らのエネルギーで見えない蛇をコントロールできる者もいれば、脇から蛇やいろいろの飾りをぶら下げて踏む者もいる。この世とあの世を結ぶ七股である。現在の仮装盆踊り大会に名残りを見ることができる。短冊には蛇文字(相撲文字)で願い事が七股調(七五調)で書かれ、次々と唱えながら一晩中七股を踏み続ける。これは相撲甚句の発祥とも言われる。

 JACSHA鶴見は、七月七日(しちぐゎちたなばた)の歌詞から始まる、沖縄のエイサー音楽「仲順流り」(ちゅんじゅんながり)でカウント。エイサー音楽といえばお馴染みの囃子「ヒーヤーサーサー、ハーイーヤー、ナーティーチェー、ハーイーヤー」のコール&レスポンスも実施。沖縄では今日7/7からお盆の準備が始まるよ、若者が揃ってエイサーを踊る練習をしているよ、という歌だそうである。他に、七流り(ななながり)、七囃子(ななはやし)と、七がついた言葉遊びのような歌詞となっている。実際に、沖縄のピアニストの平良さんは、お盆の準備のため、お墓の掃除をしてきたとレポートしてくれた。「ヒーヤーサーサー」という掛け声は、地歌奏者の竹澤さんの地元のお祭りでの「イヤサカサッサ」と類似していると教えてくれた。栄えますように、との意味だろうと推測されるそうだ。エイサーというのは「エイサーエイサー」との掛け声をよくするため、エイサーと名付けられたのだろうとの説があるが、どんな意味かはよくわからない。竹澤さんの推測からすると、エイサーやヒーヤーサーサーも、栄えますように、と捉えるとしっくりくる。

 やっちゃんは、1から100を、1歳、2…100歳と、歳をつけてカウントした。シャウトしながら100歳まで歳を言っていくバンドのパクリであるそうだが、数字に歳がついただけで数字カウントの印象がだいぶ変わる。一歩ごとに歳を取るとあっという間に80歳、100歳になって、30分で1000歳だ。やっちゃんは、新月の時に1歳年をとるともう500歳くらいだろうかと言っていたが、歳の数え方がいろんな基準があるのは面白い。以前、ダンサーの砂連尾さんは、四股を一歩踏むたびに生まれ変わるとも言っていた気がする。一歩を1歳と数えることで、隠れ四股たんの行事が一つ増えた。七五三を隠語とする、千歳四股(ちとせしこ)である。下記:

1115: 千歳四股(ちとせしこ)【七五三】

七五三では千歳飴で長寿のお祝いをするように、隠れ四股たんでは、1歩を1歳と数えてカウントし、四股を1000歩踏んで千歳、長持ちする体と長寿を祈願をする。

 歌手の松平敬さんは、「松井茂短歌作品集」を、イチ、ニ、サンと、基本に立ち返って朗読。今日はそれと同時に、松平あかねさんが小声で1から100をカウントする声が重なり、数字のポリフォニーとなっていた。ヒーフーミーや和歌詠みヴァージョンなど、一二三の数字だけの作品であるが、様々なスタイルの朗読が魅力だ。これだけで1000回分の音源が欲しくなる。1000回踏める「松井茂のテーマによる変奏曲」に期待大である。

 コントラバス奏者の四戸さんはゆったりとした日本語の数字でカウント。体重がそのまま乗っかってドスンと落ちて膝を痛めないように、ゆっくりと足が降りるようなイメージで発音したという。それが影響して、竹澤さんはムニュ〜っとし、体の置くポイントが変化したそうだ。最近は、軸足を伸ばすことに意識を置いているが、四戸さんのカウントで、ゆっくり足を下ろす意図が伝わったという。松平あかねさんは、最近は滑らかな体重移動と足上げ、衝撃の少ない下ろし方を試しているという。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、今日から20161121日の「呼出しについて」が始まった。相撲聞芸術研究室(SHARS)を展示物としてだけでなく、活用するために、さいたまトリエンナーレの終盤、まさに土俵際になって、11/20から9回にわたるJACSHAフォーラムが始まったのだった。JACSHAには「土俵ぎワニ」というキャラクターがいるのだが、27敗から勝ち越す力士のように、土俵際に追い込まれてからJACSHAの本領は発揮される。SHARSには、土を20トンくらい運んで、楽器としての土俵をマジでを作りたかった、と語られる。そのために鶴見は大相撲九月場所の土俵作り(土俵築:どひょうつき、という)を見学した。さいトリでは残念ながら出来なかったが、楽器としての土俵作りの夢は今でも変わらない。

 四股1000のオンラインは、メンバーそれぞれ一人か、家族がいる場合は二人がオフラインで共に踏んでいる。オフの二人はどのように踏み合っているのか。JACSHA樅山とやっちゃんが二人でやった日々は、やっちゃん曰く、樅山の踏み込むドンという音が凄かったそうで、逆に樅山はやっちゃんに引き込まれそうだったと、二人ならではのアンサンブルが生じていた。また、やっちゃんは同じタイミングで踏むのが気持ち良かったが、樅山は同じになるのが嫌だったので、なるべく同調しないようにあらがって踏んだという。松平家は、あかねさんもあらがっちゃう派らしいが、900回代になるころには二人は同調をしている傾向にあるとメンバーが気づいた。メトロノームの同調原理のようである。複数人の四股アンサンブルが、オフラインでたくさん実施できる日々を切に願う。

四股ノオト
8/25 四股ノオト

8/23 四股1000 百十八日目 地蔵盆

 8名参加。東京、神奈川、埼玉、茨城、京都、沖縄より参加。自由な準備運動から開始。本日のカウントは、ぼすぽう節、月刊相撲5月号附録全相撲人名鑑より浅香山部屋〜伊勢ノ海部屋鳴滝、20161120JACSHAフォーラム、日本語の数字(遅重、爽)、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、823日琉球新報美ら島だより、しゅんさーみ〜稲摺り節、全員のカウントで1000回。

 久しぶりに参加した打楽器奏者の神田さんが再生してくれた、一ノ矢師匠の佐川流四股のお手本動画を久々に見ると、腕の動きなど、これまでよりも気付くことが多い。最近の四股1000のテンポは、全体的に遅くなっている傾向にあることも気付く。JACSHA世話人里村はいつもだいたい師匠のテンポをキープしているように見える。

 神田さんは昨日、コンサートの本番があったが、今日の四股1000でリセットできたと言っていた。先日、四股から楽曲を作る話題になったが(8/20 四股1000百十五日目四股ソナタ参照)、神田さんの最近の遅めで重厚な四股を、グラーヴェやアダージョなどの速度表示用語で表すとどうなるかを考察。農作業のように、大地を踏みならす感じ、遅い感じではあるが単に重々しいわけでもない。マエストーソとも違う。一旦音楽用語から離れて、相応しいイタリア語を探した方がいいかもしれない。神田さんはまた、バランスディスク上でもゆっくりと踏めるようになったらしい。ゆっくりやることで運動量が上がり、いつも以上に汗をかいたそうだ。

 呼出しハンコ職人のサトさんは、全相撲人名鑑を呼び上げてカウント。親方、力士、行司、呼出し、床山。メンバーそれぞれ推しの人で声援を送りながらの楽しい100歩であった。全員で1000人近くいるだろうから、この名鑑だけでも1000歩くらい踏める。四股1000名鑑の提案もあり、現在は25名ほどであるので、割とすぐに作れるだろう。

 京都では地蔵盆の季節だそうだ。今日の四股1000前には、地蔵盆のお経が聞こえてきたそうだ。京都のメンバーは、今年の参加を楽しみにしていたが、残念ながらコロナ対策で中止が多いらしい。例年ではこれから秋にかけて、全国にいろいろなところでたくさんの行事やお祭りが開催されるが、軒並み中止が多く、岩槻の古式土俵入りなど、リサーチなどして縁のある行事はどうなのか、とても気がかりである。

四股ノオト
8/23 四股ノオト

8/22 四股1000 百十七日目 まったとお清め

 9名参加。東京、埼玉、茨城、京都、沖縄より参加。股関節を柔らかく緩めて優しく開く繰り返し、理想の蹲踞、からのドゥミプリエ、ルルベの繰り返し、塵手水、腰割りとイチロースタイル肩入れより開始。本日のカウントは、ぼすぽう節、日本語の数字、821日読売新聞朝刊「戦後75年終わらぬ夏 〜差別の傷痕 伏せた母〜2世の沈黙」、20161120JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、オランダ語の数字、全員のカウントで1000回。

 四股前のシャワー、四股後のシャワーの話。JACSHA鶴見は、四股1000前に一通り運動をしているらしく、大きな快感を後に持ってきたいので、四股後シャワー派らしいが、四股1000前にひと汗かいた後には、ボディシートで体を拭いてスッキリさせてから四股に望むらしい。インドネシアや沖縄では日常的に何度かシャワーを浴びる習慣がある、現在のコロナ禍の生活では、外出から帰宅した後にシャワーを浴びるので、慣れるとシャワーは意外に気軽であることに気付く、など、猛暑の夏とコロナとのシャワー生活状況を共有。

 鶴見がカウントした「ぼすぽう節」。ぼすぽうは下着の腰巻のこと。男女が明るく誘い合うような遊び歌。最近は重い内容の歌が多かったということで選曲したらしく、面白い歌で楽しませてくれた。

 評論家の松平あかねさんは、太平洋戦争で苦しんだ人生を歩んできた、在米日系人2世の親について、娘さんのシャーリーさんが語った記事でカウント。留学したことのあるワイオミング州に日系人強制収容所があったということを、この記事で知ったということで読んでくれた。シャーリーさんのお母さんは、強制収容所を楽しかった思い出として記憶を上書きして話すそうだ。娘であっても、自分の戦争体験を他の人に話すことはとても勇気がいることで、簡単には聞け出せないものだ。太平洋戦争終戦から75年。存命する戦争経験者は少なくなくなり、語り継がなければ事実や記憶は風化してしまう。今日はお話を聞けてとても良かった。JACSHA世話人里村は、在米日系人2世の戦争体験について、山崎豊子の著書で読んだことがあるという。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムでは、大相撲では、現代的な稽古や医学と並行して、伝統的な慣習や思いも大事にして実践していることを、入間川部屋の稽古見学のときに体験した話。親方は、「まった」は堂々とやっていいのだから、タイミングが合わなかったら大きい声で「まった」と言いなさい、などと現代的な指導をしたり、力士が稽古中に怪我をしたのですぐに病院へ連れて行った。全ての稽古が終わった後、土俵を綺麗にしている時に、部屋頭の力士が、塩と酒を持ってこい、と若い力士に指示をし、怪我をした場所に塩を盛り、多めに酒を撒いて清めるように指導していた。そこは、その頃よく力士達が怪我をする場所でもあったので、入念に清めていたのだ。病院にも行けばお清めもする。そうした現代と伝統の両方を大事にする音楽を作りたいと語られる。

8/21 四股1000 百十六日目 命がけの音

 8名参加。東京、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。番付表イエーイ壁の股割り、理想の蹲踞、からのドゥミプリエ、ルルベの繰り返し(入間川部屋伸脚運動風カウント付)、腰割りとイチロースタイル肩入れより開始。本日のカウントは、でんさ節、「時の声」(松井茂)20161120JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、日本語の数字、「似顔絵ルーヴル うちなぁ顔役 第53回ジョン・カビラさん」(2020820日琉球新報副読紙レキオ)、全員のカウントで1000回。

 準備運動はJACSHA野村がリードする。理想の蹲踞(グランプリエ)からルルベへ向かう過程でドゥミプリエを通過するが、入間川部屋伸脚運動風のカウントを聞きながらやると(8/20 四股1000 百十五日目四股ソナタ参照)、ドゥミプリエをしっかり意識することができ、いつもに増して負荷を感じる準備運動であった。カウントのニュアンスはやはり大事なのだ。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムでは、生活がかかっている命がけで出てくる音、社会的な機能を持つ音に興味があるという、相撲の真剣なノンフィクションの側面と、一方で横綱の発明などの、見せる工夫や権威づけとしての演出されたフィクションの側面の、両方がおり混ざっている相撲の魅力について話されていた。

 どっしりとしたカウントをした、コントラバス奏者の四戸さんは、自分がカウントすると四股に集中できず、もし1000回を一人でカウントしてやったら全然集中できない1000回になるかもしれないと言っていた。毎日やるコントラバスのスケール練習では、日ごとに課題を変えて行うので集中するという。大事なポイントだ。また、スケールの上行では天国に行くイメージ、下降では光が降りてくるイメージ、を教えてくれた。四股や腰割りにも活かせそうである。

8/20 四股1000 百十五日目 四股ソナタ

 7名参加。東京、茨城、京都、沖縄より参加。自由な準備運動より開始。本日のカウントは、まんがにすっつぁ、日本語の数字、絵のない絵本(アンデルセン著)より第六夜、「村上かるた うさぎおいしい日本人」(村上春樹著)より、ホットケーキのおかわりも3度まで、20161120JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、テンポチェンジ、けーらぬ巻うた、全員のカウントで1000回。

 JACSHA鶴見の四股からは鈴がよく聞こえた。四股を踏む珪藻土マットの上に、タンバリンを乗せ、さらにその上に鈴を乗せるセッティング。踏むたびにシャンシャンと鳴る。先週鶴見が出演していたコンサート「日本の三味線色々」でも、足元に鈴を置いて四股を踏んだらしいのだが、左足が鳴りにくいなどの課題があったため、良くなるように改善してみたという。今日は両足ともに良く鳴っていたのは、楽器の工夫だけでなく、音で左右のアンバランスに気づき、意識して踏めるようになったからだろうとのこと。

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、さいたま市にある入間川部屋に朝稽古を見学した時、伸脚運動のカウントに衝撃を受けた話。「イチ、ニ〜〜〜、サン」「ニ、ニ〜〜〜、サン」と、3カウントずつ左右を逆にして伸脚するのだが、123のどのカウントのときも姿勢に変化はないのである。1で開始、2で伸ばして、3で終わり、ということかと思うが、そうした目には見えないイメージのカウントのあり方に、見学した野村や鶴見は大変驚いたらしかった。四股のときも、イチ、ニ、と数字でカウントするものの、同時には始まらず、バラバラに始まり、力士たちの四股のタイミングが同調することはなかった。このバラバラ感音楽の衝撃をヒントにJACSHA式土俵祭りを創作している。カウントの仕方は相撲部屋ごとに違うので、いろいろ行ってみるといいですよと力士(元・大司)が教えてくれた。日大相撲部のカウントは、「オー(1)、オー(2)、オー(3)」といった具合で、ほとんど数字は聞き取れないという。

 評論家の松平あかねさんは、数字でカウントしながら、久々にテンポチェンジ四股ンダクターでカウント。アッチェレランド、パウゼ、フェルマータ、大フェルマータ、リタルダンド、エネルジコ、アテンポ、盛り上げてフィナーレ。テンポだけでなく、エネルジコでエネルギッシュな四股も踏めた。松平さんは『テンポを変えることは、根源的な喜びに繋がる』と言っていたが(6/18四股1000五十二日目テンポチェンジ参照) 3分間100歩の四股だけで、ソナタやソナチネの第一楽章を演奏しきったような充足感に満たされる。アテンポの指示では、太陽が昇ってきて新しい一日が始まる時のような、元に戻ることの音楽的な重要性を改めて実感することが出来た。楽曲感を得たため、ソナタ形式やフーガの構想もした。転調は、腰の高さの変化(ハ長調は最も腰高、調号の数とともに腰が低くなる)、シャープ系はつま先を上げ、フラット系はつま先を下げる、打楽器奏者の神田さんが最近カウントする、重厚なグラーヴェ四股は序奏だろうか、第二楽章などの緩徐楽章か、鶴見の民謡カウントは舞曲のスケルツォ楽章だった、全部で何楽章形式になるか、など。近年はクラシック音楽作品に振り付けをするダンス作品をよく見かけるが、四股からクラシック音楽作品を作ることもできるのだ。

四股ノオト
8/20 四股ノオト

8/19 四股1000 百十四日目 四股しょーら

 8名参加。東京、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。理想の蹲踞、からのドゥミプリエ、ルルベの繰り返し、壁の股割り、腰割りとイチロースタイル肩入れより開始。本日のカウントは、ゆんたしょーら、「ビラウド」「ぼくのばあい」(:藤井貞和)20161120JACSHAフォーラム、「説経節かるかや」(伊藤比呂美現代語訳)、音楽家医学入門(根本孝一、酒井直隆著)より索引、日本語の数字、絵のない絵本(アンデルセン著)より第四夜、「芭蕉布」「首」(:山之口貘)、全員のカウントで1000回。

 四股1000がなかったら、今頃どれだけ体がボロボロになっているか、メンタルの面でもやってなかったと思うとゾッとする、引きこもりがちの性格なので、表に出るような機会となるのでよい、といった、毎日の四股1000が心身にいい影響が出てることを噛み締めるように語りながら始まった。

 評論家の松平あかねさんは、風呂上がりの参加。風呂やシャワーは、四股前?四股後?松平さんは、サッパリと体を清めてから風呂上がりの四股派で、JACSHA鶴見は四股後が多いらしいが、できれば前後どちらも風呂に入りたいものである。温泉にでも浸かり、身体中の毛穴が開いてからの四股は股関節も開きやすいだろう。そして四股1000後には汗を流して再び温泉に入ったら、温泉の成分が体に浸透しやすいかもしれない。

 JACSHA世話人里村は、説経節音読のカウント時以外はパソコンに向かっていた。はじめは足を組んで座っていたが、せっかくなので腰割り姿勢で座ってみることを提案。いつもは姿勢が悪くなりがちだが、腰割りパソコンだと、体が伸び、肩が開くような感じがして良いそうだ。見た目もカッコいい。デスクワークの際にはオススメである。

 JACSHA鶴見は連日八重山民謡のゆんたを歌ってカウントしている。今日は「ゆんたしょーら」。ゆんたしようぜ、レッツゆんた、の意だそうだ。そのため、ゆんたの歌い始めに歌われることが多いそうだ。歌詞は、〜ゆんたをしましょう皆さん、ゆんたの主はいない、歌う人が主人公である、歌うので聞いてください皆さん〜と言った内容だ。これを四股に替え歌してみるとこうなる。

「四股しょーら」

ヒヤ 四股しょーら ヒーハーイ

ヒー 腰割しょーら サーユイヤーサー

我がけーら ヨーホーナーアー

(以下ハヤシ省略)

四股主 腰割主 主やーる

踏むすどぅ主 下ろすどぅ主 主ねーぬ

踏めば聞き 下ろせば聞き 我がけーら

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、そもそもなぜ相撲なのか?という問い(里村からの質問)JACSHAを結成してしばらくは相撲を観戦しに行っていただけであったが、JACSHA樅山は、趣味で相撲を見に行っているより、聞いた挙句に作った方が面白い、全然深度が違う、と答えていた。大相撲に限らず、各地の相撲を見て聞いては創作する、を繰り返し、現在は毎日四股を1000回踏んでいる。何でも口に入れて確かめる子供のようだ、と松平さんはいう。20157月の「相撲聞芸術のもくろみ」(アサヒ・アートスクエア)では、「相撲の歴史」(1994)、「相撲のひみつ」(2010)などの著書がある、東京大学法学部教授、東京大学相撲部部長の、新田一郎氏とのトークが実現した。新田先生は、相撲は見るだけでなく、相撲をとってこそ楽しみが深まるので、相撲を取ってみよう、と、本の中でも相撲の実践を推奨している。鶴見と樅山が東大相撲部に見学に行った時も、自らマワシをつけて稽古していたらしい。そしてなんと、新田先生と一ノ矢さんは同い年生まれだ。二人は大学生の時の相撲大会で一度対戦がある(新田先生の勝利)。一ノ矢さんが月刊武道に毎月寄稿している連載「四股探求の旅」の今月号(20208月号)「肩甲骨で腕を返し、肩甲骨でおっつける」では、チェロ奏者の腕の返し、おっつけに着目し、相撲とチェロ演奏の共通点を紹介されているが、新田先生はなんとチェロも演奏されるそうである。新田先生とお話しした2015年は、JACSHAの実践経験はまだ浅い時代だったので、あのときに比べれば少しは成長したであろう 5年経った今、再びお話の機会を作れるといいなと思う。

 やっちゃんが連日音読しているアンデルセンの「絵のない絵本」は、一話がほぼ100歩で踏める分の長さであることに驚きだ。アンデルセンこそ、隠れ四股たんで、後の隠れ四股たんの四股1000のために、100歩ずつ記していった物語集なのかもしれない。

8/18 四股1000 百十三日目 四股10000のスケジュール

 9名参加。東京、茨城、京都、大阪、沖縄より参加。理想の蹲踞、からのドゥミプリエ、ルルベの繰り返し、壁の股割り、腰割りのイチロースタイル肩入れより開始。本日のカウントは、網張ぬ目高蟹ゆんた、日本語の数字(コントラバス、打楽器:スイスカウベル、トーキングドラムなどと共に)、中世を生きる女性たち(アンドレア・ホプキンス)よりジャンヌダルク、20161120JACSHAフォーラム、鉄道の形式番号、絵のない絵本(アンデルセン著)より第三夜、全員のカウントで1000回。

 久しぶりの参加となったコントラバス奏者の四戸さんは、お休みの間はロンリー四股(個人練習)をする時間もないほど忙しかったにもかかわらず、体は覚えていると実感したそうだ。足だけあげるようなこともなく、体ごと下ろせるようになったという。四戸さんの体にしっかり四股が染み込んだ証だ。四股をお休みしていた間の仕事の会場の隣に、野見宿禰(のみのすくね:日本で初めて相撲をとった神様といわれる一人)が祀ってある野見神社があったそうだ(高槻市)。ここでは毎年、子どもが四股名を付けて土俵入りをする泣き相撲が開催されるらしい。(今年は10月に延期)

 JACSHA野村が連日音読しているJACSHAフォーラムは、櫓太鼓の話。相撲に限らず、いろいろな伝統芸能の興行の開幕時に太鼓が打たれるが、相撲太鼓では、相撲と分かる独特のリズムがあり、遠くに届けるために、バチの先だけでなく、バチ全体で太鼓の面をバチンバチンと大きな音で打って相撲の開幕を告げる、情報としての音の役割がある。JACSHA式土俵入りでは、呼出し邦夫さんの伝統的な相撲太鼓と、打楽器奏者の神田さんによる現代音楽的な太鼓のデュエットが実現した。これはまるでラブレターのやりとりのようであった。相撲太鼓は、太鼓の面を打つメインの奏者と、胴をカチカチと打っていく「フチ回し」の二人で打たれるが、フチ回しのリズムがどういうものだったのかの伝承は途絶えてしまっており、呼出しさんによってフチ回しのリズムは様々で自由だ。ツウになればフチ回しを聞いて、誰が打っているのかが分かる日が来るかもしれない。神田さんは、そうした自由なフチ回しの役割も担って、ダイナミックなデュエットとなったのだった。

 相撲の櫓太鼓は、現在は会場時の朝8時からの一番太鼓、結びの一番の後の跳ね太鼓が打たれるが、かつての一番太鼓は未明の2時や3時ごろ辺りに打たれたそうだ。取り組み数が多く、今よりも早い時間に始まっていたという理由もある。おそらくその名残で、今も一番太鼓は若い呼出しさんの仕事だ。いずれ一日四股10000回の夢がある。かつての未明の一番太鼓、イスラム教のアザーンの一日五回の礼拝の一回目が3時ごろである、という野村のアイデアから、1時間2000回ずつ五回やってみるシミュレーションをしてみる。アザーンの時間を参照に、日の出前、正午、おやつ、日没前、夜(暗くなってから)の五回。日の出前のハードルは大変高いが、前日に早く寝て備えよう。