10/17 四股1000 百七十三日目 四股と声

8名参加。東京、京都より参加。運足について、地歌「海老」、読売新聞より読書について、ポーランド語音読、カウント、カウント、四股と発声について、地歌「涅槃」、「蚤」、四股と呼吸の通り道について、全員で1000回。

城崎レジデンス中に、一ノ矢さんから教わったこと。相撲の運足で「すり足」という用語が使われるようになったのはこの50年ほどのことで、昭和初期の本には「すり足」という言葉はなく、代わりに「千鳥足」という言葉が登場する。雪駄や下駄も引っ掛けて歩くとのこと。確かに、「つっかけ」とは足の指先に引っ掛けて履く履物もことを言う。地歌箏曲家の竹澤さんは、昨日大きな四股を1000回踏んで足に負荷がかかり筋肉痛とのこと。

ソプラノ歌手のあかねさんは、ミュージカルの指導で多忙な日々で、本番直前のホテルから参加。ホテルで配布していた読売新聞から、読書に関する記事を読む。読書とは他人に考えてもらい自らの思考を停止するという人もいるが、人といかに共感するかを育む機会でもある。舞台の仕事やワークショップなどをすると、そうした共感の大切さを痛感するという。JACSHA里村は、ポーランド語を音読。昨日、JACSHA野村が読んだデタラメなポーランド語と違って流暢に読む。やっちゃんが足を高くあげながら大きな四股を踏む。体が柔らかく羨ましく思う。JACSHA樅山がやっちゃんの家に滞在中で、(画面の外側でも)二人の姪とともに四股を楽しんでいたようだ。

四股と声の関係についても興味深い議論があった。竹澤さんは四股を踏みながら発声をすることで、声がよく出ていたのが、しばらく四股をしていなかったことで、声の出が悪くなったとのこと。四股の大切さを痛感したそうで、今日は地歌「海老」、「涅槃」、「蚤」を歌った。里村は「オペラ双葉山 竹野の段」で四股を踏みながら竹野町史を音読した。四股を踏まないで読む時に比べて、四股を踏んでいる時の方が腹から声が出ていて、説得力があった。あかねさんによれば、四股を踏むことで、呼吸の道が太くなる感覚があるそうだ。以前、貴乃花部屋を見学した時に、稽古の最後にヘトヘトになった時に、四股を踏んでいる時の掛け声に唖然としたそうだ。あとで力士に聞くと、「疲れすぎて腹からじゃないと声が出せない」とのこと。それですごい響き方がしていたのかと合点がいったとのこと。2014年に回向院で「レッツ相撲ミュージック」のワークショップをした時も、参加者の人々がほんの数秒腰割りしただけで、声がよく出るようになったことに驚いた。四股は声楽のトレーニングとして有効という新たな視点を得た。