7/10 四股1000 七十四日目 ロボット

 8名参加。東京、茨城、京都より参加。背伸び(背骨と脇を伸ばす捻り)、セカンドポジションでドゥミプリエ(腰割り)、ファーストポジションでルルベ、ドゥミプリエ、グランプリエ(蹲踞)→ドゥミプリエを通過して四股の構えから開始。本日のカウントは、日本語の数字(ノーマル、鈴いっぱい、片鼻呼吸)、川の流れのように(四股1000ver.)、木村朝之助さんとJACSHAのトーク「岩槻と相撲と音楽2017」、「説経節」(伊藤比呂美現代語訳)、松井茂短歌作品集(スタッカートver.)、琉球古典音楽「伊野波節」、のカウントで1000回。

 昨日に引き続き床の話題。ダンサーの砂連尾さんは、床が硬いほうが、膝が柔らかく使える、踏んだ時に体に返ってくるエネルギーを感じるので、力士が四股で大地を踏みならして鎮めることと繋がるという。畳は心地いいが、絨毯だと手応えが少ないとも。歌手の松平敬さんからは、床が硬いと音がよく出るし、音の反射もあって響きが伸びるので踏みがいがあるのではないか、絨毯では音が吸われてしまって踏みにくいのではないか、といった、四股の音響環境からの視点を広げてくれた。四股から発生する音は大切な要素だ。ここから砂連尾さんは、四股は足と大地の合掌で、大地を叩くことによって、響きが天上へ向かい、雲龍などの神様に届くのではないかと、新しい四股イメージが膨らんだ。土俵が楽器になる、というのはJACSHAの夢であるが、いい音の出る床といえば思いつくのは能舞台だ。囃子も四股に合わせる四股尽くしの能作品も作らねばならない。

 木村朝之助さんのトークは、場内アナウンスについて。行司さんが場内アナウンスをしていることを初めて知った時はかなり驚いた記憶がある。アナウンサーのように洗練された端正な口調であるからだ。土俵上の迫力のある声とは、どの行司さんも別人に聞こえるほど全然違う。決まり手は場内アナウンスの行司さんが決めていいこと、分からない時は決まり手係りの親方と10秒以内で電話でやりとりをして親方が最終的に決めること、どっちつかずの勝因のときは、テレビの実況アナウンサーが確信をもって言った決まり手を優先することがある(温情)。力士の紹介や懸賞金などの原稿アナウンスだけでなく、勝敗がついてすぐ、決まり手を即決していく判断力も、行司さんならではの反射神経なのであろう。

 四股1000ではお馴染みの、松平敬さんが歌う「松井茂短歌集」の今日のカウントは、スタッカートバージョン。アーティキュレーションが違うだけで、別の作品に聞こえてしまう不思議。スタッカートの質感に合わせるように、JACSHA野村と鶴見は、滑らかさのないロボットのような固い動きで四股を踏んだ。四股ロボ。鶴見はかいたことのない汗をかいたという。ここでロボットの相撲を想像してみた。ロボットに腰割りは必要か?という問いには、股関節の硬いロボットがいて、硬くなったり柔らかくなったりする、塩で体が錆びてきたら腰割りをするイメージ。土俵の外に落ちたらバラバラに壊れそう、とすぐに連想してしまうように、ロボットといえば硬いボディだ。お相撲さんも、体が硬かったり、稽古不足や柔軟運動不足が怪我に繋がるというから、ロボット相撲という極端な硬い例を考えると、体の柔らかさやしなやかさの大事さがよく分かる。行司ロボは車輪付きで自在に土俵上を動き回れる。力士に蹴飛ばされてバラバラにならないように注意しなければならない。呼出しロボは、声の出るルンバだ。呼出しルンバ。力士を呼び上げたあとは、得意の床掃除機能で、蛇目の整備が楽ちんだ。踏まれないように気をつけなければならない。ロボットとはいえ、相手の故障を気遣い、かばい手をするようなロボットが誕生する日は近いだろう。

四股ノオト
7/10 四股ノオト

 

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